出版業界の調査・研究機関である出版科学研究所(東京都新宿区)は1月25日、2020年の出版市場規模を発表した。
紙と電子を合算した推定販売金額は、1兆6168億円(前年比4.8%増)だった。内訳をみると、紙の出版市場が同1.0%減だったのに対し、電子出版市場は同28.0%増。全体では2年連続のプラス成長となった。市場全体における電子出版の占有率は24.3%だった。
書籍や雑誌の売り上げは低下傾向にあったが、紙の出版市場が健闘した理由について同研究所は、コロナ禍の影響で在宅時間が増えたり、娯楽が制限されたりしたことが背景にあると指摘。特に、人気漫画『鬼滅の刃』は「コミックスのみならず、書籍のノベライズ作品や関連付録を添付した雑誌など、その販売効果が出版物全体に波及し、20年の市場を大きく底上げした」と分析する。
2020年は特に電子出版市場が伸長した。この背景について同研究所は、巣ごもり需要によるユーザーの増加や、客単価上昇が要因だとしている。また、東野圭吾や湊かなえといった人気作家が電子化を解禁したことも影響しているという。
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