インタビュー
» 2021年01月27日 07時00分 公開

固定席廃止でも、社員の“戸惑い”を払拭できたワケ フリーアドレス前提へシフトする企業に聞くオフィス全面改装

「AJINOMOTO」ブランドの食用油で知られるJ-オイルミルズが、本社管理部門を対象に、大胆なオフィスリニューアルを敢行。フリーアドレス化した。あえて固定席へのこだわりが強い管理部門から着手した結果は……?

[吉村哲樹,ITmedia]

 食用油脂製品の市場で、国内屈指のシェアを誇るJ-オイルミルズ(東京都中央区)。「AJINOMOTO」ブランドの食用油で、消費者にもなじみ深い会社だ。そんな同社は2020年4月、本社管理部門を対象に、大胆なオフィスリニューアルを敢行した。コロナ禍以前の19年秋から計画していたもので、「ABW」(アクティビティーベースドワーキング)のコンセプトに基づき、フリーアドレスを前提としたオフィスレイアウトに全面改装したのだ。

※ABW……従業員が時間と場所を自由に選べる働き方のこと

photo 広々と使えるフリーアドレスを導入した

あえて固定席へのこだわりが強い管理部門から着手

 同社の本社オフィス3フロアのうち、1フロアは営業部門が占め、残り2フロアのうちの1フロアを財務・人事・総務・情報システムなどの本社管理部門が占めている。当初は「普段から外回りが多く、在席率の低い営業部門からフリーアドレスを導入するのがいいのではないか」との意見が多く、逆に在席率の高い本社管理部門はフリーアドレスとの親和性が低いとの見方が多かったという。

photo 総務・ガバナンス推進部 総務グループの関直子氏

 しかし、あえて本社管理部門から先行してフリーアドレスを導入する道を選んだ。同社の関直子氏(総務・ガバナンス推進部 総務グループ)は次のように話す。

 「確かに営業部門より本社管理部門の方が、固定席にこだわる従業員が多かったのですが、一方で総務や人事、情シスといった部門は社内において働き方改革をリードする立場にあります。そうした部門が率先して実践してみせることで、全社的に働き方改革の機運を高められるのではないかと考えたのです」

 ただし一口に「本社管理部門」といっても、全ての部署がフリーアドレスに積極的だったわけではない。例えば財務部門は業務上、高性能なPCや大型ディスプレイを必要とするため、固定席にこだわる者が多かったという。また広報部門や経営企画部門は機密情報を多く扱う関係上、メンバーがばらばらに離れて働くことに難色を示す者もいた。

 しかしそれぞれの部門の要望を取り入れつつ、働き方改革の意義を粘り強く説くことで、関係各所の同意を1つずつ取り付けていったという。

 「PCのスペックに関しては、今どきのモバイルPCはデスクトップPCに負けないぐらいの処理性能があることを情報システム部門に説明してもらいました。また2席に1台ぐらいの割合でディスプレイ装置を各所に置いて、モバイルPCをつないで自由に使えるようにしました。幸いなことに、財務部門のトップが情シス部門のトップも兼ねており、働き方改革に理解のある方だったので、最終的にGOサインを出してくれました」

photo 複数人でくつろげるラウンジスペースにも、モニターを設置している

 財務部門は組織の規模や存在感が大きかったため、ここがフリーアドレス化に舵を切ったことで他の部門も一気に前向きに検討するようになった。また同じフロアには役員の個室も備えられていたが、これらも全て撤去して、役員も含む本社管理部門の全従業員のフリーアドレス化に踏み切ることにした。この方針について、同社の役員も最終的には快く同意してくれたという。

固定席を失う“戸惑い”を払拭できた理由

 具体的なオフィスレイアウトを設計するに当たっては、まず確保すべき席数を見積もる必要があった。

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