2020年の消費動向をまとめたナウキャストの「JCB消費NOW」のデータによると、コロナ第一波で大きく消費が落ち込んだ5−6月と、11月以降の第三波では、消費の傾向が違ってきている。JCB消費NOWは、プライバシーを保護した形で約100万会員のJCBカード取引データを活用して算出した国内消費指数。リアルタイムに近い消費データの分析が特徴だ。
小売消費では「勝ち負けがはっきりした」(ナウキャストの辻中仁士社長)。注目はコロナによって追い風を受けた業種の1つであるスーパーだ。第一波の際には、昨年対比で20%超の大きな伸びを示した。しかし、意外なことに、足元の第三波ではそこまで活発な伸びを示していない。
価格も、第一波と第三波では異なる動きを示した。4−5月はスーパーの価格が前年比+2%近い上昇を示し、「特売回数を減らしたり、値引率を減らしたりといった動きがあった」(辻中氏)が、足元の第三波では価格のプラス幅はほとんどなく、マイナスに飛び込むタイミングもある。食品も日用品も弱く、さらにサービス系も弱く、全体としてデフレ傾向になっていることが見て取れる。
第一波のときは何でもよく売れたが、第三波においては好調な商品とそうでもないものに分かれている。「ヨーグルトは、第一波のときに好調だったが、足元は前年比マイナス。冷凍食品やスナック菓子は、第一波のときほどまではいかないが比較的強い」(辻中氏)
日用品も違いが見られた。化粧品は第一波同様に今回も大きく落ち込んでいるが、第一波でそれほど悪くなかったシャンプーやボディソープは、足元で弱い動き。またハンドソープは好調な商材だったが、足元では弱くなっている。
第一波と第三波の違いは何か。辻中氏は、携帯電話の位置情報などのデータも用い、第一波からの回復においては緊急事態宣言で自宅にこもっていた人が、次第に外に出ていくことで消費も戻ってくるという強い相関があったと話す。しかし「12月は人が外に出ているのに消費が悪い。人出と消費の関係性が崩れている。要因として、所得効果があるのではないか」と言う。
所得効果とは、所得が減少したために消費を控えたということだ。第一波の段階では、所得や雇用の環境は比較的よかった。しかし、足元では長期の休職やリストラ、倒産の話が各所から出てきている。「第一波と比べると、これが顕在化してきているのではないか」(辻中氏)
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