新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う移動需要縮小の影響が長引き、鉄道会社の業績に影を落としている。JR東日本は1月29日、2021年3月期の連結純損益を4500億円の赤字とする見通しを発表した。緊急事態宣言が再発出された影響により、従来予想を下方修正。経営環境の激変を踏まえ、グループの中期経営計画の数値目標も新たに設定し、生活関連サービスの取り組み目標を強化した。
20年4〜12月期の連結業績は、売上高が前年同期比42.4%減の1兆3062億円、営業損益が3230億円の赤字(前年同期は4272億円の黒字)、経常損益が3730億円の赤字(同3925億円の黒字)、純損益が2945億円の赤字(同2515億円の黒字)だった。
20年4月以降、企業のテレワークの広がりや通勤手当の縮小、外出や遠方への移動を控える動きなどが目立つようになり、同社の業績には打撃となった。運輸事業だけでなく、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業も影響を受け、9期ぶりの減収。4〜12月期としては過去最低の売上高となり、初めて赤字を計上した。
新幹線と在来線を合わせた鉄道輸送量は、前年同期比38.4%減。特に定期外の利用が約6割減った影響が大きく、鉄道運輸収入は48.7%減の7212億円にとどまった。
通期の業績予想は、20年9月に公表した数値から変更してこなかったが、21年1月に11都府県で緊急事態宣言が再発出された影響などを踏まえ、今回下方修正した。売上高は前期比39.8%減の1兆7730億円、営業損益が5350億円の赤字(前期は3808億円の黒字)、経常損益が5960億円の赤字(同3395億円の黒字)、純損益が4500億円の赤字(同1984億円の黒字)の見通し。売上高予想は前回予想より1570億円下回る。
21年3月にはダイヤ改正による終電時刻の繰り上げを予定しているが、緊急事態宣言の再発出に伴って、すでに1月20日から深夜の一部列車を運休する形で終電を繰り上げている。自治体などからの要請や、感染拡大傾向が長引くことによる影響がさらに大きくなる可能性もあり、事業環境の好転はすぐには見通せない。
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