一方で、株式の売買手数料を収益源とするビジネスと、投資信託の預かり残高の一定比率を報酬として収益とするアセットマネジメント事業では、ビジネスモデルが異なる。「従来はトレーディングのサービスが中心で、短期間で広告宣伝費をリカバリーできる事業モデルだったが、いま新規で来ているお客さまは長期投資、資産形成。収益の取れ方がスロー。違うセグメントを対象にしたビジネスだと捉えている」(楠氏)
20年12月期の決算では、楽天証券の営業収益は723億円に対し、営業利益は150億円、営業利益率は20.7%。一方で規模が劣る松井証券の営業利益率は41%だ。コロナ禍の中、トレーディングも活況であり、比較すると投資信託を中心としたアセットマネジメント事業は収益が伸びにくい。
楠氏は「しかし、積み上がってくれば大きい、一般大衆を対象にしたビジネスなので面を取る」と拡大に意欲を示した。
もう一つ気になるのは、20年に存在感を増してきたスマホ証券だ。SBI傘下のSBIネオモバイル証券は50万口座を突破、LINE証券も38万口座突破を発表している。One Tap BUYは2月1日にPayPay証券に名称変更し、グループシナジーで若年層の取り込みを進めている。現在のところ、楽天グループはスマホ証券を持っていない。
「スマホ証券の位置づけについては非常に悩ましい。スマホ証券は、われわれの顧客層と相当重なっている。そういった顧客の一部を、スマホ証券に、手軽さ、UIUXで取られている」と楠氏。ただし、さまざまな投資商品やサービスがある中で、利用者は本当にスマホ証券で満足できるのかは疑問だとした。
「スマホ証券的なサービスを楽天証券の中でやっていく。世の中の動きを見ながら対応を考えるが、今のところは(別会社としてのスマホ証券は)やる気はない」(楠氏)
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