ただやはり今回の話で興味深いのは、北朝鮮のハッカーらによるターゲットへの接触の仕方だ。
実は北朝鮮のイメージとは少し違うが、北朝鮮ハッカーが送りつけてくる偽メールなどは意外に芸が細かかったりする。だからこそ、ビジネスパーソンはかなりの警戒心が注意になる。
例えば過去にはこんなケースがあった。
北朝鮮のハッカー集団は14年に米ソニー・ピクチャーズをサイバー攻撃し、大量の内部情報などを盗んだ上に、社内コンピュータの7割を破壊した。その際に使われた攻撃手口の一つに、就職の募集を悪用したものがあった。攻撃者は、就職希望で連絡をしてきたふうを装っていた。以下は実際のメールである。
〇〇様
私は南カリフォルニア大学の2年生で、デジタル制作におけるグラフィックデザインに興味があります。
△△さんから、あなたに問い合わせるよう聞き、メールしています。
ソニー・ピクチャーズエンタテインメントはその卓越性で知られ、革新的でクリエイティブなデザインへのこだわりは印象深く私の心に残っています。
私はデザイン・クラスでも優秀な生徒で、GPA(成績平均点)は4点満点を維持しており、入学後全ての学期で成績優秀者向けの奨学金を得ています。
自分に自信があり、貴社でも貴重な存在になれます。
私の履歴書と作品集に目を通していただければ幸いです。これがリンクです:http□□□□□
ご返信をお待ちしております。
会社で人を募集しているときにこんなメールが届いたら、思わず開けてしまうのではないだろうか。しかも、このメールの文面なら、最後にあるリンクもクリックしてしまう可能性がある。
とにかく相手は、いかにメールを開けさせ、添付ファイルを実行させるか、あるいはリンクをクリックさせるのか、それをじっくり考えて攻撃を仕掛けてくる。やれサイバー攻撃だ、ハッキングだといっても、結局はこうした知恵比べが繰り広げられているのが現実だ。しかもこの手の攻撃は日本人にも無関係ではないことをよく自覚すべきだろう。
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