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» 2021年02月16日 06時30分 公開

個人が機関投資家を打ち負かす ゲームストップ事件は日本でも起こるのか?(1/2 ページ)

米国で、ロビンフッドという証券会社に集まった個人投資家が、相場を乱高下させたことが話題になっている。こうした事件が起こった背景には何があったのか。米ロビンフッド同様、取引手数料を無料としている新興証券会社のスマートプラスに聞いた。

[斎藤健二,ITmedia]

 米国で、ロビンフッドという証券会社に集まった個人投資家が、相場を乱高下させたことが話題になっている。ターゲットとなったゲームソフト小売りチェーンのゲームストップは、株価が急騰。1月末には前年末の18倍まで株価が上昇した。反対に、空売りをしていた機関投資家は大損害をこうむった。

 ゲームストップに続き、映画館チェーン大手のAMCエンターテインメントもターゲットとなり株価が急騰。米連邦検察と規制当局が株価操縦などの不正行為があったかを調べる事態に至っている。

 こうした事件が起こった背景には何があったのか。米ロビンフッド同様、取引手数料を無料としている新興証券会社のスマートプラス(東京都千代田区)に聞いた。

 「個人投資家vs. 機関投資家の大戦争。これまで機関投資家には個人投資家は勝てないよね、という世界だったが、今回は個人投資家が機関投資家を倒した。象徴的な出来事だ」と、スマートプラス親会社のFinatextホールディングスの林良太社長は話す。林氏は、ドイチェバンク出身でヘッジファンドにもかかわるなど、こうした動きに詳しい。

スマートプラス親会社であるFinatextホールディングスの林良太社長

 

空売りがたまっていたゲームストップ株

 米国では在宅勤務や政府からの給付金などの要因で、個人投資家が急増。彼らが取引に向かったのは、取引手数料無料を武器にコロナ禍で急速にユーザーを増やしたロビンフッドだった。ロビンフッダーと呼ばれるこうしたユーザーは、米大手掲示板サービスRedditで株式情報に関するやり取りを始める。

 そうした中、ターゲットとなったのがゲームストップ株だった。業績不振がささやかれる同社はヘッジファンドなどの機関投資家による空売りにあっていた。当時の空売り残高は、浮動株比率で100%超。つまり、世に出回っている株数以上に空売りされていた。

 菅原良介氏(スマートプラス親会社Finatextグループアナリスト)は「本来空売りは、どこからか株を借りてきて売ることで行われる。ゲームストップ株では、株を借りなくても空売りできるネイキッドショートセリングという手法が使われた」と話す。ネイキッドショートセリングはリーマンショック後、日米欧で禁止されたが、米国ではその後解禁されていた。

ゲームストップ株事件の推移(スマートプラス)

 ロビンフッダーたちは掲示板上で息を合わせ、空売りをしている機関投資家に立ち向かった。個人投資家たちは株式を買い続け株価が急騰した。空売り残高が大きい銘柄では、意図せぬ急騰が起こると、ショートスクイーズという仕組みによってさらに株価が上昇することがある。

 これは空売りポジションに対する損失が大きくなったため、機関投資家がその株を買い戻し、それによってさらに株価が上昇。ほかの空売りでの損失がさらに拡大し、買い戻しが続くという連続したプロセスのことだ。

 結果、1月26日、27日の2日間だけで株価は4.5倍に上昇。空売りをしていたヘッジファンドは大損害をこうむり、中には破綻したところもあるという。

個人投資家の集団によって急騰を見せたゲームストップ株(マネックス証券より)
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