森会長退任問題が暴露した、根性論組織の弱さリスク管理できない日本的組織(1/3 ページ)

» 2021年02月20日 07時51分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 プロやアマスポーツでも、現役時代に名選手として活躍すれば、引退時にはそのまま「監督職」という花道を飾る人が多くいます。オリンピック選手に代表されるアマスポーツ界では選手引退後、監督やさらにその上に国会議員や政府官庁トップという例もあります。

 水泳の金メダリストの鈴木大地氏は初代スポーツ庁長官に抜擢され、同庁は鈴木氏退任後に、やはり金メダリスト・室伏広治氏を長官としました。もはや金メダリストでなけれはスポーツ庁長官は無理ゲーな前例ができました。鈴木元長官ですが、退任後、これまた台風時の行動や説明で批判を浴びる森田健作千葉県知事の後継知事候補として意欲を見せ、県内与党の支持も集まりそうとのことでしたが、急きょさらに上からの判断かなにかで結局知事候補を辞退することになりました。

 千葉県を襲った台風への甚大な被害に、タレント出身の森田健作知事が何もできなかったという批判について、その能力ではなく知名度で選ばれたという意見も出ました。その森田氏後継が結局のところ知名度抜群の元金メダリストで良いのかという声が上がりました。鈴木氏の長官在任中の5年間は、反則タックル問題、ボクシング協会問題、体操協会やテコンドー協会などで、さまざまな問題やトラブルが続出しました。その重要な時期にスポーツ庁長官がイニシアチブを取って事態収束に貢献したという印象はあるでしょうか?

 鈴木氏が知事選立候補を取りやめた理由は不明ですが、仮に出馬しても、先に出馬表明している現千葉市長の熊谷氏の評価に対抗できるか、かなりの疑問符が付くようです。

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