2リットル大容量コーヒーも投入 サントリー「BOSS」、イエナカ戦略を強化シェア拡大を狙う

» 2021年03月03日 15時30分 公開
[ITmedia]

 サントリー食品インターナショナルは、コーヒー飲料の主力ブランド「BOSS」で、イエナカ需要を取り込む戦略を強化する。販売が好調な濃縮コーヒーのシリーズには、紅茶の新商品を投入。また、家庭向けの大容量アイスコーヒーを新たに発売する。新型コロナウイルスの影響によりテレワークが広がる中で、ターゲットとしている“働く人”の新たな需要に対応する。

サントリー「BOSS」ブランドがイエナカ戦略を強化。濃縮コーヒー「カフェベース」シリーズの新商品や、大容量アイスコーヒーを投入する

 缶コーヒーを主力とするBOSSブランドでは、これまで主に職場など“外”で気軽にコーヒーを飲む需要に対応する商品を展開。2017年には、ペットボトルコーヒーの「クラフトボス」を発売し、新たな市場をつくった。

 一方、20年はテレワークの広がりや外出自粛によって“イエナカ”商品が伸長した。同社は牛乳で割る濃縮コーヒーの商品を16年から販売しているが、20年に「カフェベース」としてリニューアル。牛乳で割るラテだけでなく、水で割るブラックコーヒーも展開し、販売数量は前年比約4割増となった。発売初年度の16年と比べると、約2.8倍に成長しているという。

 また、職場などで飲用するシーンを主に想定していたクラフトボスも、ケース販売が増加したり、1人当たりの購入本数が伸びたりと、イエナカ消費に合った購入が拡大している。

発売5年目を迎えた「クラフトボス」シリーズ。コーヒー商品は大幅リニューアルを実施する

 同社では拡大するイエナカ消費をさらに取り込むため、21年のキーワードとして「ご自愛消費」と「まとめ買い」に注目。自分をねぎらったり気分転換をしたりする需要や、在宅勤務に便利な大容量商品の需要への対応を強化する。

 そこで、好調なカフェベースシリーズには、新商品「ティーベース」を投入。3月9日に発売する。カフェベースと同様に、牛乳や水で割ることでティーラテやストレートティーを作れる濃縮紅茶だ。「無糖」と「甘さ控えめ」の2種類を展開する。商品ラインアップを強化し、家で楽しめる飲み物のバリエーションを広げる。

カフェベースシリーズには「ティーベース」を投入。「カフェベース」もリニューアルする

 また、4月13日には、2リットル入りの大容量アイスコーヒー「ホームカフェ」を発売。テレワークや家事などの合間にたくさんコーヒーを消費するヘビーユーザーの需要を狙う。コロナ禍で2リットル入りペットボトル商品の市場が拡大する一方、コーヒーの大容量商品にはまだ伸びしろがあると見込む。

2リットル入りの大容量アイスコーヒー「ホームカフェ」を新たに展開する

 同社によると、国内のコーヒー消費はイエナカが6割を占める。イエナカで消費されるコーヒーのうち、ボトルコーヒーや濃縮コーヒーといった、開封してすぐ飲めるRTDコーヒー飲料の市場は約35億杯。そのうち「カフェベース」は約2億杯だという。今後、イエナカ商品のさらなる強化によって、RTDコーヒー飲料市場で早期にシェア10%の獲得を目指す。

 3月3日に開催したBOSSの戦略説明会で、同社ブランド開発事業部の大塚匠氏は「これまでは市場の4割を占める“イエソト”を中心に顧客接点を作ってきた。一方、(在宅勤務の広がりによって)『働く』という観点ではイエナカにも共通項がある。“働く人の相棒”であるBOSSブランドの中でも、カフェベースは『最も自分向けにカスタマイズできる相棒』だ。新たな接点を広げるきっかけにしたい」と話した。働き方が大きく変化している今、働く合間に飲みたいコーヒーの形も多様化している。商品の拡充により、需要への対応を急ぐ。

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