また、記者会見や取材などで質疑応答が行われる場合は、最も注意すべきタイミングとなる。そのやりとりを見聞きすれば、企業トップが本当に組織を掌握できているかどうかが分かってしまうからだ。ポイントは、「現場で起きていることについて、具体的な知識を基に語れているか」「どの部門がどう対応するか、組織の役割分担を把握しているか」「責任のあるリーダーシップを発揮できているか」といった点である。どれか一つでも欠けると、一瞬にして説得力がないと判断されてしまうだろう。
世の謝罪会見においては、「事実報道」までは比較的よく行われているが、以降の「原因究明」「責任所在」まで示されることは多くない。事件発覚からコメント発表までの間に十分な時間がないケースもあろうが、ここはぜひ責任と今後の対応まで明確に示し、事象がクリアになった時点で「収束宣言」をするところまでやり切ることを求めたい。
事象としては解決できても、それを生み出してしまった、自社内では当たり前だった何らかの理由や仕組みがあるはずだ。ウソを重ねて不祥事を隠蔽しようとするのではなく、問題の根源となる仕組み自体を見直し、変革していくための貴重な機会と捉えて、生かしていきたいものである。
働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/ブラック企業アナリスト
早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。労働環境改善による企業価値向上のコンサルティングと、ブラック企業/ブラック社員関連のトラブル解決を手掛ける。またTV、新聞など各種メディアでもコメント。著書に「ワタミの失敗〜『善意の会社』がブラック企業と呼ばれた構造」(KADOKAWA)他多数。
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