2020年末から21年の年明けにかけて、各メディアでは「霞が関の若手官僚は過労死ラインの長時間労働」「国会対応がブラックな働き方の元凶」といった形で、官僚の劣悪な労働環境に着目した報道がなされている。
立場上、自ら「労働環境を良くしたい」とはなかなか言いにくい国家公務員であるが、彼らの働き方は想像以上にひどい状態だ。人事院の発表では、19年度中に6人の国家公務員が過労死しており、内閣人事局の発表では20代キャリア官僚の自己都合退職者数は87人と、6年前の13年度(21人)から4倍以上に増加。同じく内閣人事局が実施した20年10・11月の「在庁時間」調査によると、20代総合職の約3割が、過労死ラインの目安とされる月80時間を超えて残業していることが明らかになった。
政府は民間企業に対して「テレワークで出勤者7割減」と要請しておきながら、霞が関では依然として対面の仕事が主流であり、テレワーク実施率も低い水準にあるという。官僚がこのような悲惨な働き方を強いられていることに対しては、従前しばしば警鐘が鳴らされてきたが、ここにきてようやく変革の兆しが見え、大きな動きとなってきているようだ。霞が関の働き方が変わることで、民間企業にも好影響が及ぶことが期待できる。
一連の動きは、働き方改革に関するコンサルティングを行っているワーク・ライフバランス(東京都港区)が20年8月に実施した実態調査に端を発しているようだ。調査では、約4割に及ぶ官僚が単月100時間超の残業をしていることが明らかになった。
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