「働き方改革」という言葉が浸透し、日本でもようやく長時間労働などの慣行が見直されつつある。しかし、それでもまだまだ世にブラック企業は根強く存在する。また、あからさまな「ブラック企業」とはいえずとも、「それってどうなの?」と思えるような会社も数多く存在している。本連載では、ブラック企業アナリストとして、数多くの事例を熟知している新田龍氏が、タイムリーな労働問題を中心に、働き方の「今」にメスを入れていく。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワークを導入する企業が増えている。しかし、社員の働きぶりを直接見ることができないことから、導入企業の多くが悩んでいるのが、
「社員がサボっているのではないか?」
「仕事の進捗状況が把握できないのでは?」
「社員の顔が見えず、コミュニケーションが困難になるのではないか?」
といったテーマだ。
そしてまさに先般、同様の悩みを解決する(?)方法を扱った報道が話題となった。概要としては以下の通りだ。
ちなみに当該記事中で、このシステムを利用している上司は「システムを通じて働きぶりが見えるため今のところテレワークは順調だ」とコメントしていた。確かに「自動勤怠管理機能」は便利かと思われるものの、ネット上では「作業画面自動送信機能」については「管理というより『監視』しているだけでは?」「これじゃ『リモートワーク』ではなく『リモートコントロールワーク』だ」との反応もあった。
オフィスへ出勤し、上司の目が届く範囲で仕事をするのであれば、社員の働きぶりは一目瞭然。しかし、テレワークにおいてはそれが物理的にチェックできないため、「とにかく社員を細かく管理しよう」という考えに至ってしまうことは仕方ないのかもしれない。実際、テレワークに踏み出そうとする企業経営者から「社員がサボるのでは……?」という心配や相談はよく伺う。そんなとき、私はこのように回答している。
「それはリモートワークのせいじゃありません。サボる人は出勤していようが、リモートワークであろうがサボります。『サボる』ことを過剰に問題視することが問題なんです」
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