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「2024年問題は完全に解決した」――三重県の中小運送会社が進めた、驚きの改革若手がどんどん集まる(1/3 ページ)

» 2024年07月18日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]

 「2024年問題は、当社では完全に解決しました」

 そう話すのは、三重県亀山市の運送会社、カワキタエクスプレスの川北辰実社長だ。

 川北社長は自社を「保有車両は25両。トラック事業者では平均的な規模の中小企業」と紹介する。ただし、同社には平均的ではないポイントが一つある。カワキタエクスプレスの最大の特徴は、社員の平均年齢が29.9歳と若いことだ。

 カワキタエクスプレスが2024年問題に迅速に対応できたのは、およそ15年前から若年層を採用のターゲットとし、若い人に振り向いてもらえる働き方を徹底して実現してきた結果だと川北社長は説明する。

カワキタエクスプレスの代表取締役社長、川北辰実氏。6月28日に行われたLOGISTICS TODAY主催セミナー「運送会社社長のためのポスト24年問題生存対策会議」より

 同社はこの15年間で、SNSを使いこなしDXを進め、カルチャー変革を進めてきた。物流ニュースサイトLOGISTICS TODAY主催セミナー「運送会社社長のためのポスト24年問題生存対策会議」で語ったその経緯を紹介する。

なぜ「社長が踊って」まで、新卒を集めるのか?

 運送業界では、人手不足と高齢化が課題となっている。道路貨物運送業における10〜20代の割合はわずか10.0%(2023年、全日本トラック協会調べ)。しかし、平均年齢29.9歳のカワキタエクスプレスでは、10〜20代の社員がおよそ75%を占める。

全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2023」より

 主な採用戦略は、SNS活用だ。「TikTokで運送会社と打ち込んでいただければ、当社が出てきますよ」と川北社長は自信を見せる。

 「これまではWebサイトのSEO対策をしようとか、サイトを充実させようといった考えでした。ですが、若い人たちは今、GoogleやYahoo!で検索せずに、TikTokやYouTube、Instagram、XなどのSNSで検索する習慣だといいます。であれば、それらのプラットフォームに情報を載せていないと、リーチしないんですよね」

 特に力を入れているTikTokのフォロワーは7000以上。動画を見たことがきっかけで、わざわざ遠方から引っ越して入社する人もいるという。

 「TikTokは更新頻度が大切です。一番力を入れていたときは2日に1回ペースでアップしていました。ネタが尽きて頻度が減ったタイミングでは、やはり応募数が落ちてしまいました。今も頻度を高めようとしていますが、企画が難しい面もあります。スワイプされないように、『面白い』『タメになる』『かっこいい』など何か先まで見たくなる要素を考えています」

 川北社長自身も動画内で踊ったり、動画についたコメントに返信したりと手を尽くしている。

左から、LOGISTICS TODAY代表取締役・編集長の赤澤裕介氏、サンウェイ/エコランド代表取締役社長の高島民仁氏、カワキタエクスプレス代表取締役社長の川北辰実氏。LOGISTICS TODAY主催セミナー「運送会社社長のためのポスト24年問題生存対策会議」のスタジオで、実際のTikTok動画を見る様子

 なぜ、カワキタエクスプレスは新卒・未経験層の採用に力を入れるようになったのか。その理由は、社内の業務改革と風土変革を進めるためだったと川北社長は話す。

 「例えば新しくドライブレコーダーを取り入れる際に、社員から『管理される(のはイヤだ)』など反発が出ることが多い。ところが、新人だと『安全に対して取り組んでいて、安心です』という受け止めになる。輪留めをしましょう、名札を付けましょう、携帯電話でしゃべるときは会社支給のイヤホンマイクを使いましょう――など、社会人としてやるべきことを徹底し、良い社風を作っていくために、ベテランよりもまっさらな人材をターゲットにしました」

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