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退職者の名刺から「1億円の商談」に 創業130年の酒造メーカーの意識改革(1/2 ページ)

» 2023年12月11日 08時00分 公開
[岡安太志ITmedia]

 すでに退職した人が交換した名刺が、年間1億円の取引につながるきっかけとなった――創業130年を超える老舗酒造メーカー、梅乃宿酒造(奈良県葛城市)で実際に起きた事例だ。

 同社がコロナ禍の打撃を受け、商品の販売経路や販売方法の見直しに迫られ、Sansanを導入したのが2022年。そこからどのように1億円の取引につながったのか。梅乃宿酒造の課長、吉見晃宏氏はSansan主催のイベントで詳細を話した。

梅乃宿酒造の課長、吉見晃宏氏は名刺管理のデジタル化によって生まれた事例について語った(提供:Sansan、以下同)

退職者の名刺から「1億円の商談」に

 梅乃宿酒造は、明治26年に創業した奈良県の老舗酒造メーカーだ。「酒米の王」ともいわれる山田錦を100%使用した「葛城 純米大吟醸」や、厳選した果実や果汁などをふんだんに使用した日本酒リキュール「梅乃宿あらごし」シリーズなどで知られる。

「梅乃宿あらごし」シリーズ(出所:プレスリリース)

 高齢化や人口減少による日本酒製造・出荷量の減少を受け、02年に日本酒仕込みの梅酒を発売したところ好評を博した。07年には上述の「あらごしシリーズ」を展開。順調に売り上げを伸ばしてきた。しかしコロナ禍の影響が表れ始めた19年度後半から売り上げは大きく減少し、販路と販売方法の見直しに迫られた。

 中途入社した吉見課長は、それまで社員個人がそれぞれバインダーにとじて管理していた名刺に注目した。これをデジタル化し、名刺交換から得られた人脈を組織的に管理できるようになれば、現状の課題を打開できるのではないかと考えた。

 社長に直談判した当初は「名刺は現状通り、バインダーで管理すればよいのでは? 費用対効果は出せるのか」と言われたが「絶対に売り上げが上がります」と言い切り、導入を決めたそうだ。

「絶対に売り上げが上がります」と言い切った
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