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優秀な営業マンにあえて「売らせない」 オープンハウス流、強い組織の作り方「売上高1兆円」突破(1/3 ページ)

» 2023年12月04日 07時30分 公開
[大村果歩ITmedia]

「売上高1兆円」 オープンハウスの営業組織大解剖

 売上高1兆円を突破し、勢いが止まらないオープンハウス。圧倒的な急成長の背景には、「最強の営業組織」が存在する。オープンハウスと聞くと“売って売って売りまくる”、モーレツ営業のイメージを持つ人も多いかもしれないが、実際はデータを駆使し、デジタルとリアルを掛け合わせ、効率的な組織運営を実現している――。

 今回は前編・後編の2本立てで、オープンハウスの強い営業組織を徹底解剖していく。


 2023年9月期決算で「売上高1兆円」突破し、話題を集めたオープンハウス。前年同期比20%増と、圧倒的な成長率を見せつける。

 オープンハウスといえば「営業力最強」というイメージを持つ人も少なくないだろう。不動産業界は「個人の成績」が重視される傾向があり、営業パーソン同士で売り上げを競う企業も多く見られるが、オープンハウスでは一味違う独自の組織運営で、営業力に差をつけている。

営業 (提供:オープンハウスグループ)

 「デジタルとアナログの融合と、優秀な営業マンに依存しない組織体制が、会社の成長につながっている」──そう話すのは、営業本部の石井彰太郎副本部長だ。前編では、戸建ての住宅営業を担当する石井さんに、デジタルとアナログを融合する・オープンハウス独自の営業組織について聞いた。

<関連:鬼に金棒? オープンハウス「最強飛び込み部隊」が持つ“とんでもない地図”の正体

データから見えた「売れる家の条件」

 同社の住宅販売は、製販一体であることが特徴だ。土地の仕入れから建設、販売までを一貫して担っている。毎月500件ほど追加される同社だけでしか販売しない商品を、日々顧客に案内し、成約につなげていく。

 全体の7割がインターネット経由で契約が実現する。住宅系のポータルサイトや自社のWebサイト経由で顧客が会員登録をすると、各顧客につき営業パーソンが割り当てられる。

 「多くの企業では物件に営業担当がひも付いているケースが一般的ですが、当社はお客さま1人に対して営業担当が決まっており、物件が変わってもその担当が引き続きずっと対応します」

 残りの3割は、販売している住宅の現地や、最寄り駅の駅前でチラシ配りをするなど、直接的な営業活動の結果、成約に至るそうだ。

営業

 同社の営業組織では、顧客情報を一元管理して営業活動に活用。また、SFA(Sales Force Automation、営業支援ツール)を導入し、日々の営業活動を徹底管理することで、効率的な組織運営を実現している。

 「顧客情報では、勤務先や収入、現在の住所、家族構成やペットの有無などの情報を登録しています。

 SFAにはいつアポイントメントが取れたか、どんな物件を案内してどういう反応を得られたかなど、詳細な情報を登録しています。営業のフェーズごとにそのプロセスを記録しているイメージです」

 データを活用することで、売れやすい物件の特徴が見えてくると石井さん。

 「現住所が一番影響しますね。ほとんどのお客さまが、今お住まいから半径3キロくらいの範囲で物件をご購入されています。

 また、ここ数年で住宅を購入される方の年齢層が変わってきています。私が入社した約9年前は、37〜38歳くらいのご購入者さまが多かったのですが、最近は34〜35歳くらいまで下がってきています。その影響もあり、家の広さやグレードよりも、駅やお勤め先までの距離などの立地を重視される方が増えていますね」

 他にも、SFAには電話をかけた曜日や時間を詳細に記録しているため、各顧客が何時に電話がつながりやすいかなどもデータによって分かるようになる。

 「お客さまとの会話も細かく記録します。例えば、ペットを飼われているという話を聞いたら、『近くに大きい公園があって、ワンちゃんを散歩するのにすごくおすすめの場所ですよ』というご提案の仕方もできます」

 SFAは日々ブラッシュアップを続けており、さまざなま機能を追加している。例えば、最初の問い合わせから期間が空いてしまった顧客が再度自社のWebサイトを閲覧した際は、「今、営業活動するにあたってチャンスが来ている」と担当営業に通知し、機会損失を起こさないようにしている。

 SFAの導入により、営業パーソンの突然の異動や退職があった際も、各顧客の情報を見える化しているため、迅速な引継ぎが可能になったという。

1人に割いていた時間で「5人」対応

 他にも、オートメーションツールの活用により、業務の効率化も実現。顧客の希望条件をSFAに登録しておけば、希望エリアで価格帯などの条件に合った物件情報が自動で抽出される。

 「今まではお客さまの条件を見て、自分で条件に合った物件を調べてお送りしていましたが、自動化されたことでかなりの時間短縮につながっています。今まで1人のお客さまに対応していた時間で、5人程度を対応できるようになった感覚があります」

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