色鮮やかなアメのかたまりを引き延ばし、手早くカット。あっという間にたくさんのかわいいキャンディを作っていく――。そんな伝統的なアメ細工の技法をキッチンで披露し、見て楽しむパフォーマンスにした「PAPABUBBLE」が若者を中心に人気を集めている。
同社の代表取締役CEOを務める越智大志氏は、新卒入社した電通で20年間デジタル領域を含むマーケティング支援に従事。その後、ゴンチャジャパンでCSO兼CMOを務めたいわば“マーケティングのプロ”だ。
4月に越智氏がPAPABUBBLEの代表取締役に就任した後、17日後にはPOSの入れ替えを実現。その後もECの再構築やダッシュボードによる経営の見える化など、短期間で急速にデジタル化を進めている。
すぐに効果が出た施策もあり、同社の本店でもある中野店では昨年同期比で1.65倍の売り上げを記録した(7月20〜8月15日の集計)。
越智氏は就任後5カ月弱で、どのような改革を行ってきたのか。
「私が入社してびっくりしたことは、店長でも自分の店舗の予算が分かっていない状況だったことです。本部でも一部の人は知っていても、現場に全く伝わっておらず、ただ『日々頑張ります』と売り上げを作っている状況でした」(越智氏)
越智氏は多店舗を運営する小売店では、こうした課題が起こりやすいと話す。「データを統合して、目標を立てて、現場まで届けることをしなければいけないのですが、これが非常に大変で、前職(ゴンチャジャパン)でも苦労したポイントでした」
そんな中、越智氏が代表就任後すぐに取り組んだのがPOSの入れ替えだ。
越智氏は「これまでの経験からも、POSは(デジタル改革の)ボトルネックになりやすい」と話す中、わずか17日で入れ替えを実現。これに対し「私がすごいということではなく、PAPABUBBLEのメンバーが(デジタル化の構想に対し)『分かりました、やりましょう』と奮闘してくれたから実現したことです」と話す。
その後、EC、店舗売上、天候、原価、顧客満足度、人件費・勤怠、従業員モチベーション、顧客データなどを可視化するダッシュボードを導入した。ダッシュボードは、ClipLine社が提供するABILI Boardを活用。従業員のモチベーションの項目を追加するなど、個別の要望を出し、自社に適した形にカスタマイズした。
経営数字の見える化を重視する越智氏だが「見ないデータを決めることもとても大事」とも話す。「いらない数字もたくさんあります。例えば、50項目の数字を毎日確認しても、現場では何を重んじるべきか分からなくなってしまいます。なので『この1つを見よう』『この3つを見よう』と決めることが重要です」
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