新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請の影響は居酒屋業態を直撃し、業績が比較的好調だった各社でも売り上げや利益が大幅減となっている。
焼鳥チェーン「鳥貴族」の2020年4月度の既存店売上高は前年同月比3.9%。すなわち「96.1%減」という衝撃的な数字となった。また居酒屋「甘太郎」や「かっぱ寿司」など外食店を国内で2665店舗(20年3月末時点)展開するコロワイドは、20年3月期決算で純損益が64億円の赤字(前年度は6億円超の黒字)となり、不採算の196店舗を閉店する方針を明らかにした。
また居酒屋チェーン大手の「ワタミ」においても、20年3月期の通期営業利益は9200万円で91.6%減。緊急事態宣言に伴い休業中の店舗のうち、今後も採算が見込めない国内の65店について、営業を再開せずそのまま閉店することも決定し、その損失を計上したことなどから、グループ全体の最終損益は従前の黒字予想から一転、29億円余りの赤字となってしまった。
緊急事態宣言は解除されたものの、在宅勤務の広がりなどで宴会需要の先行きが読めない中で、これまでと同様の営業形態を続けることは今後難しくなることが予想される。それは、休業中の従業員にとって深刻な問題であり、安定した収入が確保できるかどうか、それ以前にそもそも雇用自体が維持されるかどうかなど、不安の種は尽きないところだろう。
そのような状況の中「ワタミが人材派遣会社設立」との発表が飛び込んできた。同社が「ブラック企業の代名詞」と認識されていたころから取材を続けている筆者にとって、とかく悪者扱いされがちな「人材派遣」とワタミのコラボは実に興味深いテーマである。ワタミ自体はホワイト化に向けて目覚ましく改善中であることはこれまで解説してきたが、今般の派遣子会社設立はどのような意図があるのか、早速確認した。
【過去記事】
ワタミは本当に「ホワイト化」したのか? 「ブラック企業批判」を否定し続けてきた“黒歴史”を振り返る
ワタミの「ホワイト企業化宣言」は本当なのか? データから徹底検証する
ワタミはもう、「ブラック企業」には戻らない そう考えるこれだけの理由
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