まず、ワタミは今般の「新型コロナ緊急事態」にどのように対応してきたのか、から振り返ろう。感染防止のために、ワタミは4月13日から国内で運営する外食店舗約400店舗を休業し、社員は自宅待機とした。
その間に休職状態となった全社員に対して、給与の基本給10割の手当を支給していたという。休業手当については、法定基準では「平均賃金の6割以上」となっているため、大盤振る舞いともいえる。また、5月は基本給の8割を補償した。さらに、小学校休業等対応助成金を会社から申請し支給したほか、毎年開催している全社員参加の「創業記念祭」はリモートで実施するなど柔軟な対応をとったという。
なお、今回の人材派遣会社設立に先立ち、ワタミは5月4日、神奈川県を中心に展開するスーパーマーケット「ロピア」と社員出向にまつわる契約を交わしている。
ワタミでは店舗休業に伴って社員が休職、自宅待機していた一方で、首都圏1都3県に 48店舗を展開するロピアでは、食品や日用品の需要拡大により客数が増加し、従業員の雇用確保が喫緊の課題となっていた。休職中の従業員に働く場を提供したいワタミと、雇用を増やしたいロピアの利害は一致し、両社の提携に至った形だ。既に130人程度が出向勤務しているという。
ワタミからの出向者は、外食店舗での接客や調理といった経験を生かし、ロピア店舗で「即戦力」として活躍しており、ロピア側からの評判は上々のようだ。特に店長経験者などマネジメント経験は大変重宝されており、出向時に行う現場面接も免除されているという。
また、出向しているワタミ側の従業員からも「今までの仕事と違う目新しさがある」「異なる仕事を経験することで視野が広がる」など、新たな知見を得られる環境変化が好評であり、ワタミでは「出向解除後の自社の業務での相乗効果が生まれる」と期待感も大きい。この出向を希望した社員に対してもまた、ワタミは基本給の10割を補償している。
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