コラム
» 2019年12月17日 06時00分 公開

10月に創業者が経営陣に復帰:ワタミはもう、「ブラック企業」には戻らない そう考えるこれだけの理由 (1/2)

創業者である渡邉美樹氏が10月1日、ワタミに復帰。復帰会見では離職率の低下など、「ホワイト企業化」が宣言された。「ブラック企業」と批判され続けてきたワタミだが、本当に環境はよくなったのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏が3回にわたり、ワタミの過去を振り返るとともに現状を検証する。

[新田 龍,ITmedia]

 ワタミの創業者、渡邉美樹氏が10月1日付で同社の代表取締役に復帰した。同社は従業員が自殺するなど、「ブラック企業」として批判され続けてきた。しかし、渡邉氏の復帰会見では同社がホワイト企業認定を受けたことなどを発表。離職率も業界平均から大きく下回る数値を記録しているという。いまだにブラック企業として認識されがちなワタミだが、本当にホワイト企業になったのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏が3回にわたり、ワタミの過去を振り返るとともに現状を検証する。最終回となる今回は、ワタミの事例から学ぶべきことや渡邉氏の復帰でワタミがブラック企業へと戻ってしまう可能性を検討する。

【前編】ワタミは本当に「ホワイト化」したのか? 「ブラック企業批判」を否定し続けてきた“黒歴史”を振り返る

【中編】ワタミの「ホワイト企業化宣言」は本当なのか? データから徹底検証する

学ぶべきワタミの事例

 長年にわたってブラック企業と批判され、顧客も従業員も離れて倒産寸前まで追い込まれた企業が、労働環境改善の構造的に困難な飲食業界にありながらも圧倒的なホワイト企業化を実現できた事例は、業界や企業規模の垣根を超えてロールモデルになり得る。意地悪な言い方になるが、「あのワタミでさえも労働環境が改善できたのに」というせりふが成立するようになったことは、ブラック企業撲滅、働き方改革推進をなりわいとしている筆者にとっても非常にインパクトが大きい。

 残念ながら、働き方改革という概念はまだまだ広く誤解されており、最初のボタンの掛け違えが不幸な「働き方改革推進によるブラック化」につながってしまうケースさえある。一方で、それらの本質を踏まえて改革を実践できている企業は、就職希望者や市場から選ばれている、という事実もあるのだ。よくある誤解と正しい解釈を対比してみよう。

働き方改革とは…

× 残業を減らして従業員をもっと休ませる「福利厚生の一種」

〇 不採算ビジネスや不合理な仕組みを根本から改め、もうかる強靭(きょうじん)な体質に変革する「攻めの経営戦略」


働き方改革は「福利厚生」ではない(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 働き方改革において「残業削減」や「休日増」ばかりが注目されるあまり、「経営者が現場に対して『残業するな!』『もっと有休をとれ!』『生産性を上げろ!』と号令をかけるだけ」「根本的な業務量や仕組みは何1つ変わらず、結局シワ寄せは全部現場に来る」などという不満をよく聞く。これでは掛け声だけで、残業が発生している原因を何ら解決できていない点で「対症療法」でしかない。

やるべきことは職位によって異なる

 働き方改革においてやるべきことは、もうからないビジネスは見直し、「何事も残業でカバーする」という悪習を止め、仕事を棚卸しして「無駄」「無理」「ムラ」をなくし、「短時間で効率的に仕事をこなせる人」や「効率化や人材育成に貢献した人」を正当に評価する、といった形で、働く人のマインドと制度双方にメスを入れて改善していく「根本治療」なのである。

 そのために経営者が志すべきは、もうかる事業をやり、本気で労働環境を改善しようと腹をくくり、成果が出るまで改善活動を継続すること。そして管理職は率先してワークライフバランスを実践し、休みやすい風土を築き上げることだ。「もうかる事業」と「良好な労働環境」、そして「魅力的な経営者」がそろえば、今のご時世、中小企業であろうと知名度や規模で劣る大企業にも伍(ご)して良い採用ができるはずだ。

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