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» 2020年08月21日 05時00分 公開

IT企業の人材獲得争い:富士通「年収3500万円」の衝撃 ソニー、NECも戦々恐々の「グローバル採用競争」 (1/3)

「富士通3500万円」「NTTコム3000万円」「ソニー1100万円以上」「NEC新卒年収1000万円」――。優秀な人材を獲得するためにカネに糸目をつけず施策を展開する各社の危機感と焦燥。繰り広げられる採用“狂騒曲”の本質に迫った。

[中西享,ITmedia]

 オフィス半減や、「ジョブ型」への移行など思い切った社内改革を断行する富士通については【ジョブ型への移行、オフィス半減 富士通・平松常務に聞く「真のDX企業へと脱皮する要点】でレポートした。今回は、IT企業として激化するグローバル競争に勝ち抜くための同社やソニー、NECなどが人材獲得のために何をしようとしているのか、将来課題についてお届けする。

photo インタビューに応じる富士通の平松浩樹執行役員常務 総務・人事本部長(撮影:小澤俊一)

引き抜き競争も

 IT企業の人材獲得競争は数年前から熾烈(しれつ)を極めている。特にAI(人工知能)技術の各方面での応用が指摘されるようになってからは、AI技術者、データサイエンティストと呼ばれるビッグデータを分析できる人材、ソフトやハード機器のセキュリティに詳しい人材などが引っ張りだことなった。こうした人材は、数千万円の年収を払ってでも獲得しようとする企業が続々と出てきて、国内大手のIT企業は「優秀な人材をライバル企業に引き抜かれるのではないか」と戦々恐々といている。

 新卒、中途を含めて優秀な人材を採用することに加え、リテンションといわれる人材の維持、つまり採用した人材を自社にいかにして引き留めるかも課題となっている。2年ほど前から、NEC、ソニー、NTTコミュニケーションズといったIT企業は、一般社員の給与体系とは異なる制度を設けて人材獲得に力を入れるようになった。ソニーなどはこうした制度をさらにレベルアップして、国籍に関係なくグローバルな視点から人材を求めようとしている。

1000万から3500万まで 高給待遇の新制度を相次ぎ導入

 19年10月に新卒社員への高給待遇で話題になったのがNECだ。大学時代の論文が高い評価を得た新卒者の研究職を対象に、年収が1000万円を超える可能性がある「選択制研究職プロフェッショナル制度」を導入した。これまでの一般社員とはまったく異なる厚待遇で、技術・研究系の職場に衝撃を与えた。同社に聞くと、現在6人がこの制度の適用を受けていて、今後も増やしていくという。

photo 年収が1000万円を超える可能性がある「選択制研究職プロフェッショナル制度」を導入したNEC(NECのWebサイトより)

 NTTコミュニケーションズは19年7月から「アドバンスト・スペシャリスト」という制度を導入した。ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストなど即戦力の人材を3年以内に100〜200人採用する方針で、最高ランクは年俸で3000万円になる可能性がある。19年度にはこの制度によって約30人を新規で採用した。

photo NTTコミュニケーションズは19年7月から「アドバンスト・スペシャリスト」という制度を導入。最高ランクは年俸で3000万円になる可能性がある(NTTコミュニケーションズの採用サイトより)

 ソニーは世界トップレベルの研究者を獲得し、テクノロジーの力を新たな価値創造につなげようとしている。AIやロボティックス領域などで極めて高度な技術的専門性や顕著な実績を有する社員を対象に、年収1100万円以上(上限額を設けず、専門性の高さと市場価値に応じて個別に決定)を支払う「エクセプショナル・リサーチャー」(XR)制度を導入した。この制度により、AIをはじめとした特定の技術領域における人材の獲得競争が激化している中で、トップレベルの技術者を確保しようとしている。

 世界中に研究開発(R&D)の拠点があるソニーは、欧州、米国、中国に加え、2020年7月にインドにも拠点を開設した。こうした世界中の研究拠点との人材ローテーションにも今後ますます注力し、社員の育成にも多様性を取り入れていくという。

photo 年収1100万円以上を支払う「エクセプショナル・リサーチャー」(XR)制度を導入したソニー
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