今後、労働人口を含む人口の急減に対し、政府は技術を活用することで人口減少への適応を行うため、監督省庁の壁を越えた規制改革を進め、生産性向上を図ろうとしている。これまで人の手や目、あるいは紙の書類、伝票に頼ってきた社会構造を法的な整備も含めて見直し、効率化を図ろうとしている。
「いまさらかよ」とは誰もが思うことだ。切り口は異なるが、日本政府がデジタル庁を設立して、いまさらだけど行政サービスをデジタル対応にしようとしていることにも「いまさらかよ」と感じる読者はいるだろう。
ただ、遅れていることが必ずしもマイナスに、進んでいることが必ずしもプラスになることばかりではない。ヤフーとLINEが得意としているのは、身近さや利便性といった日本人の感性に寄り添ったサービスだ。利用者の高齢化や人手不足など、日本社会が潜在的に抱える問題に対応したサービスを磨き込むことは、グローバルに通用するサービス品質を実現する手掛かりになるだろう。
日本社会のデジタル化は遅れているといわれているが、だからこそ大きく社会変革させる余地がある。遅れているからこそ、変化を社会全体が欲する。
だから「何でヤフーとLINEなんだよ」といわれば、あるいは彼らではないかもしれないし、日本からイノベーションが生まれることなんてないのかもしれない。が、日本社会の問題解決につながるアイデア、サービスの最適化を進めることができれば、それは日本社会の後を追うように人口減少に伴う各種問題に対する“問題解決提案国”としてのロールモデルを担えるかもしれない。
日本の現状は待ったなしだ。他の国よりも一足先に“超大国の衰退”というシナリオの触りの部分を体験しつつ、コロナ禍の中でメガサービスの統合を行わねばならず、新しいニーズに対応する開発も並行して行わねばならない。
ばら色の未来が待っているとは思わない。しかし、厳しい環境はたくましさを育てる源ともいえるだろう。
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