網に紛れ込んだ熱帯魚やエイが売れている、なぜ?海外需要も(1/2 ページ)

» 2021年03月18日 14時01分 公開
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 沖縄の国頭(くにがみ)漁業協同組合(大嶺嘉昭組合長)と沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)が設立し、国頭漁協の定置網などで捕れた魚を活魚販売する会社「OSC」(宮原弘和代表)の経営が順調で、漁業者の所得を向上させている。熱帯魚や定置網に入るサメやエイなど食用以外の魚を観賞魚として販売する事業が、国内外の水族館の建設ブームによる追い風を受けている。(北部報道部・又吉嘉例)

 2015年、両団体が共同出資して設立したOSC。沖縄美ら海水族館を管理・運営している財団は、魚を傷つけない捕獲方法や輸送時の水質管理などの技術を提供している。一方、国頭漁協は場所や季節によって捕れる魚種を把握しているため、顧客が求める観賞魚の捕獲を支える。活魚販売は食用も扱うが、売り上げの9割を観賞魚が占めるという。

いけすで蓄養しているグルクマに餌を与えるOSCの金澤正悟さん=11日、国頭村・辺土名漁港

海外も取引先

 近年、国内外で水族館の建設が盛んだ。17年は「マリホ水族館」(広島県)、18年には「くしろ水族館ぷくぷく」(北海道)が開業。県内でも昨年、「DMMかりゆし水族館」(豊見城市)がオープンした。いずれもOSCの顧客で、25トンの活魚車で観賞魚を運び入れた。取引先は韓国など海外にも及ぶ。

 水族館ブームについて、日本動物園水族館協会の成島悦雄専務理事は「動物園は戸外で臭いの問題もあり、子ども中心の施設だが、水族館は非日常の異空間で大人も楽しめる。都市部で増えている」と話す。

 OSC営業企画課の金澤正悟課長も海外での建設ブームに触れ、「アジア経済が豊かになってきた証拠ではないか」。OSCの売上高は公開していないが、設立時からほぼ右肩上がりという。

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