緊急事態宣言中の協力金の支払いがどうなっているのか、東京都に聞いた。産業労働局企画計理課の担当者は、支給が遅れていることを認めた。その上で、支給の現状を次のように説明する。
「緊急事態宣言中の1月8日から2月7日までの期間は、5万8000件の申請がありました。申請に対して支給できているのは3月22日の時点で1万1000件です。申請から不備がなければ、2週間くらいでの支給を考えていましたが、協力金の受付が立て続けに行われていることもあって、順番待ちで時間がかかっている状態です」
担当者が明かした数字から計算すると、支給率はわずか18.9%。感染拡大防止のために時短営業ではなく休業を選んだ店舗が多い中で、この支給率では多くの飲食店が困っているはずだ。2月8日以降の分は現在申請受付中で、まだ支給はされていない。
また、12月18日から1月7日までの期間に要請した営業時間短縮に対する協力金の支払いも、まだ終わっていないことも分かった。5万9000件の申請に対し、支給は4万4000件。支給率は74.5%にとどまっている。1万5000件はいまだに支給されていないのだ。
この1万5000件について東京都は「申請書類に不備があったため」と弁明する。できるだけ不備を無くすために、注意すべき点を協力金についてのWebサイトにアップするなど、対策を進めているという。
しかし、全体として、協力金の支給に時間がかかっていることは事実だ。協力金が3月中に支払われないことで、経営がもたない店も出てくる可能性がある。営業時間短縮の要請に従ったことで、倒産や廃業に追い込まれかねない事態になっているのだ。
東京都によると、協力金の審査は都の職員と、事務局を委託している博報堂によって行われている。協力金の支給が始まった昨年4月以降、これまでに支払われた協力金は2200億円以上。博報堂への委託料は最大で200億円の予算が計上されている。営業短縮を要請しているのは東京都なのに、「受付が立て続けに行われているため」に支給が遅れるのは、業務の設計に問題がないと言い切れるのか。
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