「時短要請に応じたのに協力金が支給されない!」 東京都の支払い遅延に憤る外食企業協力金支給率たったの18.9%(1/3 ページ)

» 2021年03月31日 20時05分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的にした2回目の緊急事態宣言は、1都3県では1月8日から3月21日までの長期にわたった。営業時間の短縮を要請された飲食業界がさらなる大きなダメージを受けたことは、数字にも表れ始めている。

 日本フードサービス協会が毎月実施している「外食産業市場動向調査」によると、2月の「パブ・居酒屋」の売り上げは対前年比29.3%。前年の2月も新型コロナの影響で売り上げが下がっていたため、前年比の数字以上に厳しい状態で、「飲酒業態にとって酒類提供の時間短縮は致命的」だったと指摘している。

2月の「パブ・居酒屋」の売り上げは対前年比29.3%だった(日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」より)

 緊急事態宣言中は、東京都全域の飲食店に営業時間の短縮が要請された。午後8時までの短縮営業に応じた飲食店には、感染拡大防止協力金として、1店舗あたり1日6万円が支払われることになっている。宣言解除後も午後9時までの営業時間短縮要請が続いていて、応じた場合には1日あたり4万円の協力金が支払われる。

 だが――。飲食店からは「緊急事態宣言中の協力金がまだ支払われていない」と悲鳴が上がっている。さらに、12月から1月にかけての営業時間短縮要請に対する協力金が支払われていない店舗もあるという。その結果、飲食店の資金繰りは厳しさを増していて、東京都内の繁華街では午後9時以降も営業する店が散見される状況だ。緊急事態宣言解除後の飲食店の現状と、協力金の支給の現状を取材した。

飲食店が集まる東京都内有数の繁華街、新橋の夜

東京・新橋では多くの店が営業を再開したが……

 数多くの飲食店が集まる東京都内有数の繁華街の一つ、新橋。酒を提供する飲食店が多いこともあり、1月8日から3月21日までの緊急事態宣言中は、営業しても売り上げが見込めないとして多くの店舗が休業していた。宣言が解除されてからは営業を再開しているものの、周辺にある大企業ではテレワークが続いているほか、東京都内の感染者数も増加傾向にあることから、夜の新橋に以前のような活気は戻っていない。

 営業を再開したほとんどの店が、東京都の要請に従って午後9時で営業を終えている。3月30日の夜9時過ぎに新橋を訪れてみると、人の流れは新橋駅へと向かっていた。ただ、飲食店が密集している地域を歩いてみると、午後9時以降も多くの客で賑わっている店がある。中には、店頭や看板の灯は消しているのに、店内に客がいる店もあった。午後9時以降も営業している店が確実にあるのだ。新橋にあるバーの店主は、経営の現状をこう明かす。

 「緊急事態宣言期間中に休業したために、運転資金はほとんど底をついている状態です。しかも、東京都に感染拡大防止協力金を申請していますが、今年1月の緊急事態宣言中の協力金はまだ1円も支払われていません。いつ支払われるのかも分かりません」

営業を再開したほとんどの店が、東京都の要請に従って午後9時で営業を終えている

 東京都の感染拡大防止協力金は、期間を分けて申請受付がされている。この店主の場合、年末年始を含む12月18日から1月7日の分は、3月上旬に振り込まれたという。緊急事態宣言中の1月8日から2月7日までの期間については、2月22日から3月25日に申請受付が行われた。店主は書類に不備があって支払いが遅れることを防ぐために、行政書士に頼んで早い時期に申請した。しかし、3月30日になっても、何の音沙汰もないという。

 「協力金の申請は、提出しなければならない書類が多く、持続化給付金と比べると準備が大変です。私も最初に申請した時は何度も不備を指摘されました。それで行政書士にお願いをしたのですが、緊急事態宣言中の協力金がいまだに支払われないのは、一体どういうことでしょうか。

 私の店は規模が小さいこともあって、これまでの蓄えを崩してギリギリのところで耐えているので、営業時間の短縮にも応じています。しかし、午後9時以降も営業している店が多いのは、協力金が支払われないので、現金を確保しなければ潰れてしまうからでしょう。協力金の支給が遅いことには憤りを感じます」

3月30日の夜9時過ぎに新橋を訪れてみると、人の流れは新橋駅へと向かっていた
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