「時短要請に応じたのに協力金が支給されない!」 東京都の支払い遅延に憤る外食企業協力金支給率たったの18.9%(3/3 ページ)

» 2021年03月31日 20時05分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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「経営努力だけではもたない」

 東京都は新型コロナ対策の特別措置法の改正を受けて、緊急事態宣言中の営業時間短縮要請に従わなかった32店舗に対して、営業時間短縮命令を出した。3月29日には命令に従わなかった4店舗に対して、30万円以下の過料を科すための手続きを始めている。

 一方で、系列の26店舗に対して営業時間短縮命令を出したグローバルダイニングからは、命令は「違憲・違法」だとして3月22日に提訴された。グローバルダイニングは、東京都の要請に異を唱えたことに対する「狙い撃ち」の命令だとして東京都の命令の違法性を訴えているほか、「要請に応じていたら経営を維持できなかった」とも話している。

 32店舗に命令を出したものの、要請に従わなかった店舗は2000店舗以上ある。命令や過料に公平性があるといえるのだろうか。さらに、売り上げが減少することを覚悟して要請に従った店舗が、協力金の支払い遅延で苦境に陥るのは、行政として適切な対応といえるのだろうか。

 現在の営業時間短縮要請は、東京都では当面4月21日まで続くと見られている。午後9時までに営業時間を短縮することで、1日あたり4万円の協力金が支払われるものの、小規模で家賃が安く、1日の売り上げが数万円といった飲食店以外は、収支がプラスになることはないだろう。日本フードサービス協会では現在の状況を「企業努力や経営努力だけではもたなくなってきている」と分析している。

 東京都は「審査の人員を増強している」というものの、支給の遅れが解消する目処は立っていない。1月8日から2月7日までの協力金の支給が完了する時期については「何とも申し上げられない」と答えるのみ。要請に応えた飲食店を窮地に追い込んでいる状況を認識して、1日でも早く支給できるような対応が求められる。

グローバルダイニングの長谷川耕造社長と弁護団
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