コロナ禍でも従業員が結束して客数2倍! “収束後”を見据えて飲食店が取り組むべき「重要事項」とはアフターコロナに備える(5/6 ページ)

» 2021年04月30日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

コロナ禍でも全店が過去最高の売り上げを記録

 飲食店がコロナ禍を乗り切るヒントになればと思い、5店舗の飲食店を経営するA社の事例をここで紹介します。当社のご支援先の1つで、コロナ禍によって最も影響を受けている「繁華街型アルコール業態」です。

 客数が大幅に減少する中、A社の経営者は自社の経営理念、経営ビジョンの見直しを行いました。コロナ禍前に示していた経営理念や経営ビジョンが間違っている訳ではありません。しかし、コロナ禍という未曽有の経営危機を迎える中で、改めて「自分達はなぜ飲食店を経営しているのだろうか?」という原点に立ち返り、その目的、意味を見つめ直すことから始めたのです。

 当社の窓口にも、「コロナ前に示した経営ビジョンが、現状にそぐわなくなった」という相談が多く寄せられるようになりました。

 A社では社長と幹部社員が一緒になって、一から経営理念、経営ビジョンを考え直しました。話し合いを通じて新たに定めたのは「食を通して、この街を豊かにしていく」という大方針。この大方針をベースに、あるべき将来像や行動指針、店舗別のKPIまで細かく設定しました。

 シンプルに見える大方針ですが、コロナ禍で街の人たちにとって「外食」は当たり前の行為ではなくなってしまいました。こういう時期だからこそ、プロの飲食人として「街から必要とされ、街を豊にするお店」を目指していこうという強い決意を表明したのです。

 新たに定めた経営方針を共有するために、全社員を集めました。そして、社長の熱い思いや、数年先の自分達の目指すべき目的地を伝えた上で、経営理念やビジョンについて参加者全員で考えるグループワーク研修を行いました。最後には一人一人に「これから自らのお店をどうしていきたいか」を発表してもらいました。

 「こういう時期だからこそ、来店されたお客さまにたくさん感動を与えたい!」

 「地域に愛されるお店として、いつでも元気いっぱいでお客さまをお迎えしたい!」

 「すぐに結果は出なくても、毎日少しずつお客さまが元気になるような行動を積み重ねていく!」

 参加者は、次々と自分達の目標を発表しました。各人の熱い気持ちがあふれでるような内容でした。そして、店舗に戻ってからは、各店がチーム一丸となってさまざまな取り組みを即座に行っていきました。

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