手数料を無料化して証券会社はどうやって利益を出すのか?(1/3 ページ)

» 2021年05月07日 12時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 ネット証券を中心に、国内で株式売買手数料の無料化の流れが進んでいる。現在も、SBI証券と楽天証券では1日100万円まで手数料はゼロだが、さらにSBI証券と松井証券では25歳以下の完全無料に踏み切った(記事参照)。

 しかし、売買手数料を無料化して、いったいどこで利益を出すのだろうか? 利用者の中には、「どこかに落とし穴があるのではないか」と不安視する声もある。このからくりを解くために、先行して手数料を無料化している米国の証券会社が、どうやって利益を出しているのかから見ていこう。

米国の流れ

 米国で手数料無料化に先べんを付けたのは新興の証券会社ロビンフッドだ。2015年に手数料完全無料でサービスを開始し、若年層の支持を受けた。20年のコロナ禍では春からの3カ月で300万人の新規ユーザーを獲得し、ユーザー数は1000万人を突破。個人投資家が特定銘柄に集中し株価を押し上げる出来事が起き、ロビンフッド事件などと呼ばれたのは記憶に新しい。

 ロビンフッドに続き、大手オンライン証券会社のチャールズ・シュワブも19年10月に完全無料化を果たした。米国では、手数料競争が進みオンライン証券の再編が起こっている。

 ではこうした証券会社は、どのようにして収益を得ているのだろうか。

米国の収益化方法 PFOF

 ロビンフッドのビジネスモデルは、そもそも売買手数料に依存しないものだ。収益の半分は「ペイメント・フォー・オーダー・フロー」(PFOF)という仕組みで稼いでいる。残り半分が、信用取引に伴う金利収入となっている。

 PFOFとは何か。「顧客からの取引をヘッジファンドなどのマーケットメーカーに回し、リベートを受取る仕組みだ」と説明するのは、国内で唯一、売買手数料完全無料のサービス「ストリーム」を提供する新興の証券会社スマートプラスを傘下に持つFinatextホールディングスの伊藤祐一郎CFOだ。

売買手数料完全無料のサービス「ストリーム」を提供する新興の証券会社スマートプラスを傘下に持つFinatextホールディングスの伊藤祐一郎CFO
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