アパレル大手のワールドが5月6日に発表した2021年3月期(20年4月〜21年3月)通期の連結業績は、売上高が1803億円(前期比23.7%減)、営業損益が216億円の赤字(前期は123億円の黒字)と大幅な減収減益だった。純損益は171億円の赤字(同80億円の黒字)に転落。コロナ禍での店舗休業、外出着需要の減少が影響した。
20年4月の緊急事態宣言を受け、グループ直営店舗の約9割(2227店舗)が臨時休業し、営業店舗もほぼ全店が短縮営業(4月末時点)。営業を再開した6月の店舗売上は、外出自粛の反動を受け、想定以上のスピードで回復したが、7月以降、感染が再拡大。もともと集客力が高かった都心部の駅ビルや百貨店で、客の戻りが緩慢だった。
一方、巣ごもり需要の拡大を背景に、生活雑貨やEC経由の売上成長率が上昇したが、在宅勤務の広がりによるビジネス需要の減少、家ナカ需要にマッチした商品構成に大きく舵を切ることができず、苦戦を強いられた。
また、店舗で販売機会を失った「春物商品」の在庫を消化するため、値引き販売が増え、利益率が大幅に低下。秋冬シーズンでは、仕入れを前年より約2割抑制し、採算の改善に努めた。雇用調整助成金収入の他、中途採用と賞与引当金の抑制、店舗の臨時休業などに伴う家賃・賃借料の減少、出張やイベントの自粛などコスト削減に努めたが、売上総利益の大幅な減少をカバーできなかった。
22年3月期の連結業績は、売上高1964億円(前期比8.9%増)、営業利益63億円、純利益35億円を見込む。
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