Zoomの画面越しながら、熱量が伝わる力強さで「フル出社体制に戻す理由がない」と言い切るのは、アステリアの代表取締役社長・平野洋一郎氏だ。東証1部上場で73人の社員(会社四季報より)を抱える同社だが、2回目の緊急事態宣言中のテレワーク率は97%に達する。昨年4月の緊急事態宣言後も、9割以上のテレワーク実施率を継続していたという。
そんな「ほぼ」完全テレワーク体制を確立した同社だけに、本社オフィス(東京都品川区)のスペース半減は、当然の帰結だったのかもしれない。昨年12月、テレワークが常態化したことを理由に、それまでのオフィス床面積1140平方メートルの半分以上にあたる約610平方メートルのスペースから退去した。本格的なテレワーク体制に舵を切ったアステリアが、業務を円滑に進めるために実施している、さまざまな施策に迫った。
一般的な不動産契約では、退去する場合、6カ月前に告知しなければならない。「昨年8月に退去を告知した。1月末〜6月に実施したテレワークで生産性の向上が見られたことが大きい。さらに、テレワーク下の第2四半期には、創業来最高益を達成したこともあり、取締役会で全会一致で決定した」と平野氏は誇らしげに語る。
テレワークに関する社内調査では、生産性について、47%の社員が「とても上がった」「上がった」と回答している。アステリアでは、その後もテレワーク体制を継続し、10月の調査では、その率は、55%まで上昇している。組織として、テレワークを円滑に推進するための施策を講じたことや、社員がテレワークに慣れたこともあるのだろう。
一方、10〜11%の人は「とても下がった」「下がった」と回答している。これについて、平野氏は「会社に入って歴史の浅い人にこの傾向がある」と説明する。新しく入社した人は、社内の人的ネットワークが十分に構築されない段階でテレワークに突入することになったので、社内コミュニケーションに課題があったということであろう。
そこでアステリアでは、新しく入社した人向けに次のような対策を実施している。
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