ソフトバンクグループ(G)の好決算が市場の話題を席巻している。同社における2021年3月期の連結純利益は4兆9880億円だ。
この数字は、これまでトヨタグループが乗り越えられなかった純利益2.5兆円の壁を易々と破る記録であり、日本企業がこれまで誰も足を踏み入れられなかった領域に到達した。世界に目を向けても、この額の純利益を上回っていたのはアップルとサウジアラムコの2社のみで、グーグルの持株会社であるアルファベットを置き去りにするレベルでもある。
ソフトバンクGといえば、利益や損失、そして負債の額までとにかくスケールが大きい企業であることには違いない。20年4月末には、ソフトバンクビジョンファンド(SVF)におけるウィーワークやウーバーの運営会社における企業価値下落のあおりを受けて、9000億円の最終赤字予想が報じられた。巷では借金(有利子負債)で投資することの是非を問う声や、ソフトバンクGの経営状況自体を憂慮する声も散見された。
ちなみに筆者は当時、この問題について経営上問題ないというスタンスの記事を公表したが(記事参照)、アリババグループの株式を売却して資金調達するという可能性も含め、結果的に記事内容に沿った形で危機を乗り越え、この一年で見事なV字回復を遂げたようだ。
しかし、決算書をのぞくと違和感が生まれる。回復の角度が“おかしい”のだ。これは決算短信を見れば一目瞭然である。
なぜなら、ソフトバンクGの税引前利益は、同社の売上高を超えているからだ。
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