コロナ禍が収まらない。三度目の緊急事態宣言が発出され、それでもなお、感染者の増加基調は止まらない。ワクチン接種の進捗(しんちょく)が先進国中最低水準のわが国においては、もう1年はコロナ禍との戦いが継続しそうだ。つまりは、リモートワークありきのハイブリッド・ワークスタイルが継続することを意味する。
どのようにしたらハイブリッド・ワークでの生産性が向上できるか、総務部門での悩みも継続しそうだ。その中で、大きな課題となっているのが在宅の勤務環境整備だろう。家庭では、長時間快適に座れる椅子がない、通信環境が整っていない、そもそも仕事をするスペースがない――こうしたさまざまな課題が、各社員から噴出したようだ。
在宅勤務を継続することで、企業側としては、通勤定期代やオフィスの水道光熱費が軽減された、ということもあり、それを原資にテレワーク手当を新設するところも多くなった。筆者が編集長を務める『月刊総務』で毎月行っている総務アンケートのうち、この4月に行った福利厚生についての調査結果でも、そうした傾向が表れている。今回はその結果をひもときながら、総務が考えるべき福利厚生の今後を考えてみよう。なお、調査は4月6〜13日の期間、『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者などを対象にWebで実施した。
新型コロナ以降に新設した福利厚生について尋ねたところ、「テレワーク手当」が17.6%だった。そして意外にも、その他に新設された制度はほとんどなかった。テレワークを実施している企業に対し、テレワーク手当を実施しているか尋ねたところ、「はい」が32.8%、「いいえ」が67.2%と、テレワーク手当を実施している企業はまだ少数派ではあるものの、一定程度には増えてきている。
さらに細かく、テレワーク手当の中身を見ていくと、次のような結果となった。
今後コロナ禍が終息した際、このテレワーク手当をどのようにするのか、という点も総務の現場では課題となりそうだ。「既得権」となった福利厚生を止めるには、かなりのハレーションが生じるからだ。また、ハイブリッド・ワークスタイルにおける在宅勤務と出社の割合を変化させた場合、テレワーク手当もどのような割合で減額変化させるのか、いまからシミュレーションしておくことが肝要だといえる。
一方で、新型コロナ以降に休止・廃止した福利厚生について尋ねたところ、「懇親会」が15.5%、「レクリエーション」が4.7%と、社員間のコミュニケーションに関するものが1、2位を占めた。
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