最後に、経営層の福利厚生に対する理解についてはどうだろう。筆者は、企業として福利厚生をどのように考えていくのか、という点が重要かと思う。
福利厚生は得てして、従業員の既得権、権利のように捉えられることが多い。享受するのが当たり前、なくなると不平不満をいう――給与以外に企業として付与する福利厚生の目的をしっかりと伝えず、漫然と提供しているとそのように取られてしまう。
給与が、仕事に対する報酬であるとするなら、福利厚生は、企業側が求める人材になってもらうためのサポートとして捉えてはどうだろうか。ワーク・ライフ・バランスが取れた生活を送ってもらうため、自己研さんに励む従業員になってもらうため、身体的・精神的に安定した状態で、パフォーマンス高く仕事をしてもらう人材になってもらうため。そのような思いがあるから福利厚生として手当しているのだと総務は発信していくべきだ。
目的を明確にした、あるべき人材となってもらうための、明確な企業側の意志として、福利厚生制度がある、そのように提示してみてはどうだろうか。コストではなく、投資として捉えた福利厚生制度、そのように考えるべきではないだろうか。
株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)
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