一般的に、5歳ぐらいの幼児になると、自分の「気持ち」をより理解できるようになってくるという。自分自身を評価し始めるのもこのころで、「友だちに好かれたい」といった感情が出てくる。
そのため、たとえ人形であっても、偏った美の基準を推奨するのは、幼い女児が自分の容姿を否定することにつながると懸念されている。だからこそ、子どもたちの身近に存在して寄りそうバービーにも、インクルーシブな価値観が求められている。
こうした背景を受け、インクルーシビティーの範囲は広がりを見せている。現在では、義足や車いすに乗ったバービーなども登場している。ちなみに、20年に最も売れた商品は、車いすに乗ったバービーだったというのも興味深い。
続いて、マテル社が取り組んだもう一つの大きな改革は、デジタルや映像部門の強化だ。バービードールはアナログなオモチャであるが、ターゲットである子どもやその親たちにアプローチするには、デジタルでのプレゼンスは必要不可欠だからだ。
カルチャーアイコンになっている歴史あるブランドにとって、時代に合った進化とノスタルジーを両立させるのはとても難しい課題だ。しかし、子どもの興味の変化やトレンドに合わせて、ブランドも柔軟に対応していくことが急務となっている。
現代では、多くの子どもがテレビよりも、PCやスマートフォン、タブレット端末などに接する時間が多くなっているため、オンラインで情報を発信したり、動画配信やゲームなどを活用したり、マルチチャンネル戦略が重要になっている。
そのため、同社はYouTubeにバービーのオフィシャルチャンネルを開設したほか、Nexflixでバービーのアニメーションも配信している。また、大手映画会社と組んで映画の制作も進行中だ。その中でも、YouTubeの影響力は非常に大きい。米国では、11歳以下の子どもの80%がYouTubeで映像を見たことがあり、そのうち53%は毎日見ているという。
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