NFTアートの価値とは? 知られざる3つのメリット(3/5 ページ)

» 2021年06月04日 07時00分 公開
[太田圭亮ITmedia]

NFTのメリット

 デジタルコンテンツをNFTとひも付けることで得られるメリットは大きく3つあります。

 まずはコンテンツの一意性です。前述したように、コンテンツの権利を一意に主張できるようになります。NFTとデジタルコンテンツとを結びつけることで、デジタルコンテンツに一意性・唯一性を付与し、「確かにこのコンテンツの持ち主があなたである」ことを簡単に証明できるようになるのです。

 従来、複製が容易なデジタルコンテンツを権利保護しながら流通させるためには一定のコストがかかっていました。コピーガードや電子透かしなどがその例です。結果その流通コストに見合わない低価格のコンテンツはなかなか市場で流通されないのが現状でした。

 しかしNFTを使えばデジタルコンテンツの所有を証明できるので、そのような権利保護の仕組みの必要性が下がり、結果として流通コストを抑えることができます。また、複製が容易にできるデジタルコンテンツはリアルコンテンツと比べてどうしても低い価格でやり取りされがちですが、NFTによりデジタルコンテンツの一意性が担保されるため、コンテンツ自体の価値も上がりやすくなります。

 次に相互互換性です。今までデジタルコンテンツは各サービスやプラットフォームに閉じていました。あるゲームで購入・獲得したキャラクターはあくまでもそのゲーム内でしか利用できませんでした。しかし現在NFTのほとんどはイーサリアムのブロックチェーン上に記録されており、イーサリアムに接続しているサービスであればサービスを横断してコンテンツを取引可能です。

 例えばあるECサイトで購入したデジタルアートを、他のマーケットプレイスで二次販売できるようになります。NFTの技術により、このようなプラットフォームに左右されないコンテンツ中心のマーケットが実現できます。

 最後はプログラマビリティです。イーサリアムのスマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的執行できる仕組み)という機能を用いることでさまざまな機能をNFTにもたせることができます。マーケットプレイスなどの仲介サービスに頼らずとも、ブロックチェーンに記録された情報をもとに契約やルールセットを実行してくれるのです。

 その例として、コンテンツが二次流通された際に収益の一部を著作権者に返す還元金の仕組みがあり、実際にそのような機能が実装されているNFTマーケットプレイスも出てきています。サービスをまたがったとしても、NFTがAさんからBさんにいくらで販売されたという情報と、最初に設定された還元金率に基づいて、著作権者に還元金を自動で支払うことが可能になります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.