コロナで大不振のエイチ・アイ・エス 25%増収のエネルギー事業も赤字転落のワケ(1/2 ページ)

» 2021年06月14日 09時45分 公開
[季原ゆうITmedia]

 エイチ・アイ・エスは6月11日、2021年10月期第2四半期(11-4月期)決算を発表した。売上高は676億円(前年同期比80.4%減)、営業損失は310億円(前年から296億円の損失拡大)、経常損失は307億円(同299億円の損失拡大)、四半期純損失は232億円(同197億円の損失拡大)で減収減益となった。

 新型コロナウイルス感染再拡大により、各国での入国制限の継続など旅行事業が大きな影響を受けた。さらに、ワクチン接種の遅れなどによるレジャー需要の回復が後倒しになったことも要因となった。また、前年同期では第2四半期の後半からコロナ禍の影響を受け始めたため、前年との差も顕著に表れる結果となった。

コロナ禍の影響がなかった20年10月期第1四半期との比較となったため、対前年でも大きく悪化した(エイチ・アイ・エス決算資料)

各事業がコロナ禍の影響を受ける

 旅行事業では、一部の国と地域においてワクチン接種の動きがみられたものの新たな変異ウイルスの感染拡大など、依然として新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、主力の海外旅行も渡航制限などの措置継続が続いたため非常に厳しい状況となった。また、Go Toキャンペーン効果による増収も、11月、12月と順次地域別にキャンペーン停止となり1月以降は需要が減速。店舗の統廃合などコスト削減の徹底に努めたものの、結果は売上高290億円(前年比9.7%)、営業損失180億円(163億円の減益)となった。

旅行事業の売上高は激減。180億円にものぼる営業損失となった(エイチ・アイ・エス決算資料)

 テーマパーク事業では、ハウステンボスで11年ぶりとなる新エリアのオープンなどにより春休み中心に需要の取り込みを強化したものの、長崎県全域での特別警戒警報発令などの影響により入場者数は減少。ラグーナテンボスでは「鬼滅の刃」のイベントが好評を博し、3月から入場者数は回復に転じたが売上高は85億円(前年比86.8%)、営業損失6億円(1.4億円の減益)となった。

緊急事態宣言などによりテーマパーク事業も不調。営業赤字が続く(エイチ・アイ・エス決算資料)

 ホテル事業では、H.I.S.ホテルホールディングス国内初となる既存ホテルの不動産取得および事業継承や、新規プロジェクトなど新規開発を進めた。しかし国内ホテルでは感染再拡大の影響、海外ホテルも海外旅行困難な状況が継続した為宿泊者数は減少。売上高31億円(前年比48.5%)、営業損失26億円(21億円の減益)となった。

ホテル事業もコロナの影響で赤字に沈んだ(エイチ・アイ・エス決算資料)

 九州産交グループでは、熊本県独自の緊急事態宣言発令により、大型商業施設「サクラマチ クマモト」の入館者数は再び減少。バス事業でも路線の運休や減便の発生、飲食物販事業においても時短営業や休業など、コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたことにより、売上高は86億円(前年比70.1%)、営業損失9億円(11億円の減益)となった。

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