コロナで大不振のエイチ・アイ・エス 25%増収のエネルギー事業も赤字転落のワケ(2/2 ページ)

» 2021年06月14日 09時45分 公開
[季原ゆうITmedia]
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増収したエネルギー事業も、大きな営業赤字に

 エネルギー事業では、電力小売事業における供給量は順調に拡大推移するも、12月下旬以降の寒波到来に伴う電力需要の増加や、燃料在庫の減少に伴うLNG(液化天然ガス)火力を中心とした供給力の低下などにより需要が逼迫(ひっぱく)。卸売市場では年間を通して5〜10円/kWhで推移していたところ、12月下旬より高騰し、1月下旬までは100円/kWhを超える日が続出した。一過性ではあるが、このような仕入環境の悪化により、売上高は176億円と前年比25.7%増となったものの、営業損失77億円(86億円の減益)となった。

コロナ禍影響を受けないとみられたエネルギー事業は、25%増収だったものも、電力価格高騰により大きな赤字に転落した(エイチ・アイ・エス決算資料)
異常値ともいえる電力価格高騰で、仕入れ額が上昇(エイチ・アイ・エス決算資料)

 今後は、グループ全体でコスト削減の徹底を継続し、雇用調整助成金を活用していく。またHIS単体においては採用の抑制に加え需要回復局面までは最大1500人の出向により稼働人員を調整していく。需要100%回復時の人員はコロナ前の約70%で対応可能となる体制を構築する。

 さらに、新規事業参入も視野に入れ、事業規模全体の70%を占める旅行事業を5年以内に50%未満にし、より強固な事業ポートフォリオを目指す。またエネルギー事業においても電力仕入方針を見直し、時期に応じた仕入割合の変更、収益性の高い低圧契約を強化していくとしている。

現在7割を占める旅行事業の比率を5年以内に5割まで下げる(エイチ・アイ・エス決算資料)
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