インタビュー
» 2021年06月22日 07時00分 公開

コロナ禍でも業績絶好調――BANDAI SPIRITSが新体制になって目指すこと(1/3 ページ)

[しげる,ITmedia]

 BANDAI SPIRITS(BSP)は、2018年2月にバンダイナムコグループの再編により誕生した企業である。バンダイのトイホビー事業のうちハイターゲット向け商品を手掛けている部門に加えて、バンプレストのロト・新規事業やプライズ事業を移管。現在はバンダイナムコホールディングスの100%子会社として、ハイターゲット向け玩具、プラモデル、景品、雑貨などの企画開発・製造・販売を担当。純利益は19年3月期が65億3400万円、20年3月期が117億600万円、21年3月期が156億5200万円と推移している。

 21年4月1日付で、BSPの代表取締役社長に就任したのが宇田川南欧氏である。これまでネットワークコンテンツ事業を中心に手掛け、バンダイナムコエンターテインメントでは初の女性取締役として、業績をけん引してきた。47歳にしてBSPのトップに就任した宇田川氏に、現在の会社の状況、そして今後の動きについて話を聞いた(全2回の1回目/後編に続く)。

宇田川 南欧氏

プロフィール

宇田川 南欧(うだがわ なお)

1974年1月生まれ 東京都出身

1994年4月 バンダイ入社

2000年9月 バンダイネットワークス転籍

2009年4月 バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)転籍

2010年4月 同社第2スタジオ 2-4プロダクション ゼネラルマネージャー

2014年4月 同社執行役員 第2事業本部副本部長

2015年4月 バンダイナムコエンターテインメント取締役

2018年4月 同社常務取締役、バンダイ取締役(非常勤)

2021年4月 BANDAI SPIRITS代表取締役社長


赤バンダイ 青バンダイ 赤色のロゴがバンダイ、青色のロゴがBSP。 バンダイナムコグループは各社が個別採用を行っているが、この2社についてはバンダイで一括採用を行い、BSPには出向という形で配属される。社内での呼称は特に決まっておらず、宇田川氏は「スピリッツ」と呼んでいるそうだ
赤バンダイ 青バンダイ バンダイ、BSPの売上高と純利益

BANDAI SPIRITSが目指す“ブランド力の強化”

 BSP誕生のきっかけは、当時のバンダイの事業規模が拡大し続けた点にある。商品のターゲットが非常に幅広く、商品開発だけではなくマーケティングなどさまざまな側面でターゲットに応じたアプローチが必要になるため、バンダイだけで全てを手掛けることには限界があった。

「バンダイが大きくなりすぎたこともあって、会社を分けてターゲットを明確化し、それぞれの成長を目指そうとしたのがBSP設立のきっかけです。事業体がいくつかあるのを前提に、それぞれの機動力をあげようという考えです」

 BSPとバンダイとの違いでいえば、一番分かりやすいのがターゲットの年齢層が高いところ。ガンプラに代表されるプラモデルやS.H.Figuarts、超合金といった、大人向けのブランドを数多く抱えているのがBSPの特徴だ。宇田川氏が大きな目標として掲げるのが、このブランド力の強化である。

 「現在一番力を入れているのは、ブランドの強化です。ガンプラ、TAMASHII NATIONS、一番くじ、バンプレスト(プライズ)など、そういったブランドごとの強化はBSP設立からの3年間での成果です。高品質で『これであれば間違いない』というところを、どれだけ深く届けられるかに注力してきました。また、バンダイ本体と離れたことで独自の品質基準を持て、よりキャラクターのイメージに近い商品を提供できるようになりました」

ムゲンドラモン 「デジモンアドベンチャー」の「ムゲンドラモン」。Figure-rise Standard Amplifiedシリーズより3月に発売された

 従来のバンダイの事業でいえば、キャラクターやIPをさまざまな商品として展開し、時流に応じて販売することが主軸となっていた。それに対してBSPでは「IPではなく各ブランドの印象付け」という、別の軸での商品展開を行っていたことになる。その意図はどこにあるのか。

 「定番キャラクターを商品化するのはBSPの得意なところではありますが、キャラクター商品にはどうしても旬やブームが存在します。その中で購入を継続してもらうために、IPの軸だけではなくブランドという軸を打ち出す必要があります」

 「例えば、あるキャラクターが好きで商品を購入した方に『ここのブランドは高品質だ』と思ってもらえたら、他商品の購入も促せます。キャラクターは縦軸で、ブランドは横軸です。ブランド軸がしっかりあれば、IP軸の揺れ動きや変化に対応できます」

 どうしても流行り廃りがあるのがキャラクタービジネスの弱点であり、ブランド力の強化はこの弱点を克服するためのキーポイントとなる。そして、海外展開に関しても重要な意味を持つ。

 「ブランドで各カテゴリーのナンバーワンを取るのが、海外展開を考えると特に重要です。国内でブランドが浸透しているものを海外に持っていったとき、『同じキャラ商品でもこのブランドのものは違う』と思ってもらうことが、そのまま競争力につながります。また、どの地域に何を展開するかを考える際にも、やはり一貫したブランドをどれだけ印象付けられているかが勝負になります」

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