コロナ禍でも業績絶好調――BANDAI SPIRITSが新体制になって目指すこと(2/3 ページ)

» 2021年06月22日 07時00分 公開
[しげるITmedia]

 ブランドイメージの強化と並んで、IPの新規開発も重要なテーマだ。6月8日にドラマが最終話を迎えた「ガールガンレディ」をはじめ、今春以降、BSPで商品展開される新規IPやアニメ作品が多数発表された。注目したいのは、いずれもガンダムなど既存のIPとは異なるものが発表されたこと、そしてプラモデルでの展開が前提になっていたことである。

 「プラモデルについては国内に自社工場があり、生産体制が整っています。“BANDAI SPIRITSのプラモデル”はこれまでの蓄積からブランド力もあります。今のホビーの分野ではガンダムが中心になっているところがあり、将来的にプラモデルで遊んでもらう層を増やすには新しいIPを育てることも不可欠だと思っています。とにかく、やっていかないと増えていかないものなので。今春に発表されたものは、その取り組みの一環になりますね」

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新型コロナウイルスは何をどう変えたのか

 また、現在のBSPにとって見過ごせないのが、新型コロナウイルスの影響だ。玩具・プラモデルといったジャンルにとって結果的には新型コロナウイルスが追い風となったところもあるが、しかし有形無形の悪影響もあったのは事実である。

 「昨年の春頃は、工場も止まっているし出荷もできないし、そもそもお店が開いていないという大変な状態でした。ただ、お客さまも外に出られなくて身近なエンターテインメントを求めていたところがあるのか、例えばコンビニで買える一番くじは好評でした。ガンプラも好調で、キットはもちろんですが、印象的だったのは工具がよく売れたことです。それだけ初めて作る人や、しばらく作っていなかった人が多かったのでしょう」

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 デジタルの分野においても、新型コロナの影響が特に強く見られた。バンダイナムコグループは「プレミアムバンダイ」というeコマースを抱えており、そこでの売り上げが海外の受注も含めて好調。さらに新製品発表などのオンライン化を促進しており、5月には緊急事態宣言もあり静岡ホビーショーでの展示を取りやめた代わりに、バンダイホビーサイトにて「HOBBY NEXT PHASE 2021 SPRING」を開催。Web上でのイベント開催を強化している。

 「イベントをオンライン化することで、その場に来られる人以外にも見ていただけることになりました。コロナが収まったあとも完全に元に戻すのではなく、このような気付きや便利だったことは継続する方針です。『交通費を払って現地に足を運ぶよりも、家でゆっくり見たい』といった需要にも応えていきたい」

 「バーチャルイベントはワールドワイドに事業を展開するためにも効果的です。一カ所に拠点を構えるのではなく、海外も含めて多くの人に新製品を見てもらうことで、プロモーションの機会を広げていきたい。とはいえ、実際にお客さまや小売店の方とお会いして話すことで距離感が縮まるのは確かなので、イベントに関しては今後もハイブリッドを進めていきます」

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