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» 2021年07月07日 07時00分 公開

オフィスに「居ながら改装」で業務への影響を最小化 “創造性を生む場”をどう作ったのかボッシュ渋谷の事例から(1/4 ページ)

仮オフィスに引越しすることなく、1、2フロアずつ工事を進めていく「居ながら改装」。居ながら改装を行ったボッシュは、渋谷オフィスをどのように“創造性を生む場”として作り上げていったのか。

[人事実務]

本記事について

 本記事は『人事実務』(2021年6月号)特集「オフィスは何のための場所?」より「事例1 ボッシュ」を一部抜粋、要約して掲載したものです。当該号の詳細はこちらからご覧いただけます。

<会社概要>

 ●社名:ボッシュ株式会社

 ●設立:1939年7月

 ●売上高:連結279,249百万円、単独271,803百万円(2020年実績)

 ●事業内容:自動車メーカー向けシステムおよび製品の開発・製造、ドライバー向け自動車パーツおよびアクセサリーの販売、ボッシュ・カー・サービス(BCS)などの運営、自動車整備機器の販売、電動工具の販売

 ●従業員数:連結6024人、単独5231人

 ●本社:東京都渋谷区渋谷3-6-7

創造性や感性を刺激する働く環境づくり

 ボッシュ株式会社は、世界最大の自動車部品サプライヤーとして知られるボッシュ(本社・ドイツ)の日本法人である。日本進出は1911年(明治44年)。今年110周年を迎える歴史ある企業である。

 現在、ボッシュは、自動車向け部品やサブシステムなどの「モビリティソリューションズ」、大規模な建造物に用いられる油圧駆動装置などの「産業機器テクノロジー」、電動工具や、洗濯機、冷蔵庫、食洗器といった白物家電などの「消費財」、監視カメラシステムやスタジアムの音響設備、国際会議に用いられる同通システムなどの「エネルギー・ビルディング・テクノロジー」の4領域を中心に事業を展開している。

 従業員はグループ全体で39.5万人、グループの連結売上高8.7兆円という巨大企業である。日本では、ボッシュ・グループ全体で全国34カ所に主要拠点を構えている。国内の従業員数は約6500人である。

 ボッシュ(以下、断りがない場合は日本法人)は2017〜19年に、渋谷にある本社ビルの大規模改装を実施した。本社ビルは17階建(地下2階)で、そのうち2〜16階のオフィスフロアを全面的にリニューアルした。

photo 渋谷本社ビルの改装

 この改装で注目すべき点は大きく2つある。まず、ボッシュ・グループで共有している新しい職場環境づくりのコンセプト「IWC(Inspiring Working Condition、『創造性や感性を刺激する環境づくり』の意)」に基づき、それまでとはまったく異なる新しい働き方を実現するデザインが施されたこと。次に、改装時は仮オフィスへの引越しを行わず、本社ビル内で業務を遂行しながら1、2フロアずつ解体と改装を進めていくという大胆な「居ながら改装」を実施したことである。

 ドイツにある本社でIWCという考え方が提起され、新しい職場環境づくりの取組みがスタートしたのは2008年ころのこと。社会や産業が技術集約型から知識集約型へと急速に中心軸を移すなか、多くの企業と同様に、ボッシュ・グループもその流れに対応するために職場環境や働き方に対するマインドを変えていかなければならないという観点がそこにある

 「現在、ボッシュのビジネスドメインに、新興の知識集約型企業の参入が相次いでいます。知識集約型企業は経営の意思決定のスピードの速さや柔軟性、創造性の発揮などの面で競争において有利です。そこで私たちは、製造業のコンピテンシーをしっかり維持しつつ、知識集約型社会に対応しなければならないという考えに至りました」

 こう語るのは、ボッシュ株式会社渋谷本社事務所長であり、渋谷施設管理部ゼネラル・マネージャーの下山田淳氏だ。

 「とはいえ、そうしたことを従業員に説明したとして、すぐに腹落ちしてもらえるものでもありません。知識集約型社会や企業への移行に慣れてもらうためにも、まずは職場環境を変え、それを端緒として、新しい働き方・考え方に取り組むことを考え、ボッシュ渋谷本社ビルを全面改装することにしました。『習うより慣れよ』ということです」

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