在宅勤務に適した商品として、機能性を重視したスーツの需要は高まっている。紳士服大手のAOKIは20年11月に「パジャマスーツ」を発売。これまでに累計で2万着を売り上げた。また、ワークマンも21年2月に、作業現場とオフィスを行き来するビジネスパーソンをターゲットとした「リバーシブルワークスーツ」を発売。裏返すと作業着になる機能を持たせながら、価格は上下セットで4800円に抑えた。
一方、機能性を重視しつつ、大量生産、大量消費を見直す姿勢を示すメーカーもある。オアシススタイルウェア(東京都港区)が展開する「WWS(ダブリューダブリューエス)」だ。WWSは、18年3月に「ワークウェアスーツ」として発売したスーツ型の作業着で、グループ会社の水道工事業の社員向けユニフォームとして開発したもの。
2月の戦略発表会で、オアシスライフスタイルグループの関谷有三CEOは、「低価格競争には参画しない」と表明。季節を問わず長く着用できる製品を販売し、余剰在庫を抱えない商品開発を進め、アパレル業界が抱える環境問題に向き合う姿勢を示していた。
7月7日現在、ECサイトで販売している商品の価格は、ジャケットが1万7600〜2万4200円、パンツが1万3200〜1万5400円(限定モデルを含む)。紳士服大手各社が展開する高機能スーツより高い設定となっている。しかし、30〜50代の男性を中心に支持を集め、20年3月〜21年2月の売り上げは前年同期比で400%を達成した。
オアシススタイルウェアの中村有沙社長は以前、ITmedia ビジネスオンラインの取材に「他社の高機能スーツと、私たちの商品を利用される方の客層は異なっていると感じている。もともとは『作業着』として誕生し、独自の高機能素材を使用している点が強みだ。価格帯も含めてすみ分けができていると思う」と話していた。
インターネット上では「日本の気候にスーツは合わない」「在宅勤務でほとんど着なくなった」「スーツ着用を見直すべきだ」といった声が挙がっている。アパレル各社は着用シーンなどに応じた幅広い提案を行うなど、次の一手を模索している。
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