田原総一朗に森永康平が問う どうすれば日本経済はコロナ禍を乗り越えられるのか?いまこそ積極財政をせよ(3/4 ページ)

» 2021年07月08日 13時08分 公開
[森永康平ITmedia]

日本は産業構造を変えよ!

――田原さんが指摘する日本的経営がもたらした弊害。これは現在も色濃く残っていると考えていますか? そこが変わらないと、日本経済は復活できないということですよね。

 いまは日本でもベンチャー企業が育ちやすい環境になってきた。インターネットのおかげで、東京にオフィスを構える必要もないし、さまざまなサービスが安価で活用できる。コロナがそれを一気に加速させたね。ベンチャー企業の経営陣に会うと、みんな最初は大企業に5年ぐらい勤めている。最初の頃は勉強になるけど、上のいうことを聞いているだけでつまらない。ゼロイチができないから。そうやって、みんなベンチャー企業を立ち上げている。

――田原さんはこれからの日本経済はベンチャー企業がけん引していくと考えていますか?

 日本の就職活動はよくない。学生にどんな企業に入りたいか聞いても、「倒産しない」「給料がいい」「残業が少ない」と答える。何がしたいかというのがないんだね。でもこれから少子高齢化が進み、平均寿命も更に伸びる中で、日本人が現役で働く期間は伸びていく。そう考えた時に、自分がやりたいことを仕事にしていることが重要だと思う。

――でも若いころは自分が何をやりたいかなんて分からないですよね。

 だから、まずどこでもいいから企業に入る。5年ぐらい働いたタイミングで企業は半年間の連続した有給休暇を与える。そこで、「本当に自分は何をしたいのか」を考えて、自分が働きたい企業の入社試験を受けたり、ベンチャーを立ち上げたりすればいい。そして、企業側もこの人と働きたいと思えば高額の給料を提示して、企業が求めていない人材なら給料は下がる。つまり、日本的経営の年功序列賃金はあと10年もしたらなくなるんじゃないかな。

 経営陣も変わる必要がある。いまは役員全員がサラリーマンなんだよ。そうじゃなくて、役員の半分は社外役員にする。そして、役員の3分の1は女性にする。そうなってくると、経営者だって外部の人間や外国人にもなる。こういう風に変えていかなければいけない。

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