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» 2021年07月15日 07時00分 公開

令和3年度の電子帳簿保存法 「うちは関係ない」とは言えない、2つの注意点いまさら聞けない電子帳簿保存法(2/3 ページ)

[中田清穂,ITmedia]

 その理由は以下です。

(1)費用対効果絶対主義

 紙の電子化、テキスト化を進めるためには、これまで発生していなかったドキュメントスキャナーなどの機器購入コストやスキャンする手間、そして場合によっては新たなソフトウェアの購入などが発生します。紙の電子化、テキスト化が、これらのコストを上回るかどうかが明確にならないと、会社として承認されないのです。

 紙の電子化、テキスト化のメリットを定量的に測定することは、通常困難です。定量的測定ができないと、もうこの時点で紙文化からの脱却はストップします。

(2)全体最適に対する機能不全

 紙の電子化、テキスト化は、経理部門だけでは対応できないケースがほとんどです。営業部門、購買部門、倉庫部門、製造部門など、社内のあらゆる組織に紙はあります。従って、社内のあらゆる組織で“紙文化脱却”を行おうとすれば、かなり大規模な社内プロジェクトになってしまいます。

 どの部署が主管となって、誰が紙文化脱却を推進するのか。自分の部署だけではない、全社的な観点を持っていない経理部門では、あえて火中の栗を拾うようなまねはしないでしょう。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

(3)変化を嫌う体質

 これまできちんと日常経理業務を実現し、決算も間違いなく実行してきた経理部門では、紙を電子化、テキスト化することで、支払いや入金確認を間違えたり、決算処理を間違えたりすることを嫌うのは当然だと思います。できるだけ従来通り、紙を中心とした業務のまま、何も変わらないことを望んでいる経理部門は多いと思います。

 以上のことから筆者は、電子帳簿保存法が大幅に改正されてもなかなか紙文化からの脱却は進まないだろうと考えています。

 経理の現場を見てきた筆者の経験では、エビデンスの電子化やRPA(ロボティクス)による経理業務の自動化などが進んでいる経理部門には、共通点があると思います。

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