インタビュー
» 2021年07月17日 13時04分 公開

映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 「第3村ミニチュアセット」展示の舞台裏を聞く興行収入は100億円を突破(1/2 ページ)

庵野秀明総監督によるアニメ『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がシリーズ史上最高の勢いで興行収入を伸ばし続け、7月12日までの累計で100億円を突破。2016年公開の『シン・ゴジラ』の興行収入82.5億円を超え、庵野総監督作品で最もヒットした映画となっている。

[タカハシ アキラ,ITmedia]

 庵野秀明総監督によるアニメ『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(『シン・エヴァ』)がシリーズ史上最高の勢いで興行収入を伸ばし続け、7月12日までの累計で100億円を突破。2016年公開の『シン・ゴジラ』の興行収入82.5億円を超え、庵野総監督作品で最もヒットした映画となっている。

第3村ミニチュアセットの写真(撮影:タカハシアキラ)

9メートル×4メートルのミニチュア

 『シン・エヴァ』では物語の前半部分が「第3村」という架空の村を舞台に描かれる。この第3村を描くために、ミニチュアセットが作られた(現在そのミニチュアは、東京都江東区にあるミニチュア・テーマパーク「スモールワールズ TOKYO」で展示されている)。

 ミニチュアの大きさはおよそ9メートル×4メートル、実に4トントラック2台分に相当する。なぜ、特撮ではないアニメの制作にこのようなミニチュアを制作する必要があったのか。『シン・エヴァ』を制作したカラー(東京都杉並区)の学芸員・三好寛さんがこう話す。

 「庵野総監督は誰も観(み)たことがない画面、誰も行ったことがない世界を創(つく)り上げるためにさまざまなことにこだわります。その手段の一つが、ミニチュアだったんです」

 庵野総監督はカメラアングルを追求し独特の構図で画面を切り取ることで知られる。通常アニメは「絵コンテ」という設計図をもとに作画する「レイアウト」によって画面の構図が決まる。だが、「第3村」を舞台にしたシーンでは、描き手の頭だけで考えた構図にするのではなく、よりリアルで面白い構図が求められた。

 「良いアングルを探り、構図を決めるためにミニチュアセットを作りました。演出や美術ら映画制作スタッフがあらゆる角度から何千枚もの写真を撮影し、アングルを追求したんです。こうした検証作業を経(へ)たため、『第3村』が臨場感のある舞台として描かれたと思います」

 ミニチュアの制作は、庵野秀明総監督・脚本による16年の映画『シン・ゴジラ』でミニチュアを制作した田島勇さんが手掛けた。特撮で培った技術がアニメにも生かされた形だ。

 ミニチュアを活用した映画の制作が終わり、保管場所を探さなければならなくなった。そんな中、「スモールワールズ TOKYO」を管理・運営するSMALL WORLDS(東京都江東区)の近藤正拡CEOが、保管場所の提供を申し出たという。

 20年6月に世界でも有数の屋内型ミニチュア・テーマパークとして同館を開館したものの、映画が公開されるまで「第3村ミニチュアセット」が何なのかは最重要機密事項とされ、施設スタッフでも見ることが禁じられていた。近藤さんはこう振り返る。

 「このミニチュアが何なのか、責任者の僕でも知らないままずっと保管していました。立場上、聞くことはできたのかもしれませんが、知ったら見たくなってしまうので、何も聞かずにいました」

SMALL WORLDSの近藤正拡CEO
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