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» 2021年07月20日 08時27分 公開

「インフレ」になると、どうなるのか? 残念ながら“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

[加谷珪一,ITmedia]
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インフレから身を守るためには

 現時点では米国のインフレが日本に波及するのかは分からないが、仮に日本でもインフレが進んだ場合、何が起こるだろうか。残念だが、デフレが続いているとされる現在よりも、生活ははるかに苦しくなる。

 景気が拡大しない中で物価が上がると、賃金は上がらないのに物価だけが上がる状況に陥る。同じ可処分所得で購入できるモノやサービスの量が少なくなるので、生活上の不満は増えるだろう。

 ちなみに2010年ごろには4000万円台だった首都圏の新築マンション平均価格は、現時点で6000万円を突破している。悪いインフレが進むと、給料が増えないのに、日用品ばかりか家の値段まで跳ね上がり、一般サラリーマンでは手が出ない水準になってしまう可能性も十分に考えられる。

悪いインフレが加速すると、マンション価格も高騰して……

 政府の財政も一気に苦しくなる可能性が高い。物価が上がると金利も上昇するので、政府の利払い額が急増する。税収が変わらなければ利払い費が増えたぶん、他の予算を削る必要が出てくるので、最終的には年金や医療、地方への補助金などが犠牲になる可能性がある。財政が苦しい状態で国債を増発すると、さらにインフレを加速させるという副作用をもたらすため、むやみに国債は増発できない。

 こうした事態を回避するためには、日本が持続的な経済成長を実現し、良いインフレに転換するしか方法はないのだが、私たち個人にできることはほとんどない。では、仮にインフレが進んだ場合、どのようにして身を守ればよいのだろうか。基本的には不動産や株式などインフレに強い投資対象にお金を投じるのが最良の防衛策となる。

 インフレが進んだ場合、不動産価格はそのぶんだけ上昇する可能性が高いので、実質的に資産は減らない。株式の場合には、米国など順調に経済成長している国の銘柄が考えられる。日本で物価上昇が顕著になれば、円安となる可能性が高いので、ドルなど外貨で投資する人が増えるかもしれない。では、金はどうか。金は収益を生み出さず、保有しているだけでコストがかかる資産なので、比率を高くするとダメージを追う人が出てくる。

 繰り返しになるが、インフレに強い資産を購入すること以外、個人にできることはほとんどない。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。


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