もう、ショッピングセンターはバンバンできない! オープンから3カ月で退店のテナントも…… 厳しすぎる“戦国時代”に突入したワケ(1/5 ページ)

» 2025年10月27日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。


 2025年にオープンした大型商業施設開発の中でも、ダントツの注目度だと筆者が感じているのが、9月12日に高輪ゲートウェイ駅前に誕生した「NEWoMan(ニュウマン)高輪」です。約180店舗(期間限定店を含む)が入居しており、2026年春にはさらにミレエリアに約20店舗が新たに加わる予定です。

ニュウマン高輪(筆者撮影)

 以前はこのような施設がバンバン日本全国にできていましたが、最近は心なしか少なくなったような気がします。新規開業が減り、リニューアルが増えている、というのが今の日本の商業施設の現状です。

 なぜ新規開業が減ってきたのでしょうか。これからのショッピングセンター(SC)はどうなっていくのでしょうか。小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上続けているムガマエ代表の経営コンサルタント、岩崎剛幸が分析していきます。

日本のSCは減少傾向

 日本のSCは今、どのような状況にあるのでしょうか。

「SC白書2025」をもとに筆者作成

 2024年時点で、国内には3037カ所のSCがあります。ピークだった2018年(3220カ所)と比較して、6年で200カ所弱が減少したことになり、SCが大幅に減少中だといっても過言ではありません。

 ではSCの新規開発数はどうなっているのでしょうか。2007年には年間100カ所を超えていたSC開発数も徐々に減少し始め、2025年には年間17カ所と過去最少の開発数となりました。2024年には38カ所の開発でしたので、6割近い減少です。

同前。2016年から立地区分が変わり、「郊外立地」も「周辺立地」に含まれるようになった

 2000年の大規模小売店舗立地法施行後、日本のSC数は一気に増加しました。しかし25年が経過し、SCを開発すればディベロッパーはもうかるし、テナントはSCに出店場所を確保しさえすれば成長できるというモデルは崩れ始めているというのが現状です。

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