もう、ショッピングセンターはバンバンできない! オープンから3カ月で退店のテナントも…… 厳しすぎる“戦国時代”に突入したワケ(2/5 ページ)

» 2025年10月27日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

店舗数が減って、売り上げはどうなった?

 では、売り上げはどうなっているのでしょうか。チャネル別に見ると、SC売り上げの大きさが目立ちます。

同前

 2024年における日本の小売業販売額はおよそ167兆円と前年比102.5%です。百貨店はインバウンドの追い風もあり同106.5%ですが、年間売上高は6兆円を割っています。チェーンストアは13兆円の売り上げですが、同96.1%と前年割れしています。

 CVS(コンビニ)は13兆円弱まで売り上げを伸ばしていますが、同101.2%と伸び悩んでいます。この中では、B2CのEC売り上げが24兆円を超えていることと、SC売上高が32兆1250億円となり、前年比104.2%という数字が目立ちます。つまり、SCは店舗数、新規開業数は減少傾向にあるものの、実は売上高は伸びているのです。

 日本のSC数と売上高の相関を見てみると、状況がはっきり分かります。

同前

 SC数は減少を続けていますが、コロナ禍での落ち込み以降は売り上げを回復させ、施設数が過去最多だった2018年当時の水準に迫る勢いです。店舗数が減少する一方で売り上げが成長しているということは、SC当たりの規模が大型化していることを意味しています。中途半端な規模のSCが淘汰され、大型のSCがシェアを高めているのです。

 つまり、SCを新規に開発する際は広域から集客できる、「リージョナル型SC」を作らない限り、もうけることが難しくなっています。SCはまさに“戦国時代”に突入しています。

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