意外にも、2020年度のEC取引はマイナスか拡大どころか(1/3 ページ)

» 2021年08月23日 08時13分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 経済産業省が発表した「令和2年度 電子商取引に関する市場調査」によれば、令和2年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)と、なんとマイナスを記録してしまった。

 コロナ禍で、「ECが大幅拡大」「巣ごもり需要が活性化」「ECで物流が疲弊」など、世はEC一色のような騒がれ方をしたものだが、ふたをあけてみると、拡大どころかマイナスとなっていた。

 ただし、これにはカラクリがあり、物販系ECは順調に伸びたのだが、サービス系のECが大きく減少したことが、この結果を招いてしまったようだ。

サービス系の落ち込みが激しい

 物販系は、2019年の10兆515億円から2020年は12兆2333億円(21.71%増)、サービス系は2019年の7兆1672億円から2020年は4兆5832億円(36.05%減)、デジタル系分野は、2019年の2兆1422億円から2020年は2兆4614億円(14.9%増)となった。

 これまでのECのなかで、いかに「サービス関連」が大きなウエートを占めていたのかがよくわかる。ここでいうサービス系とは、旅行サービス、飲食サービス、チケット販売、金融サービス、理美容サービス、 フードデリバリーサービス、その他 (医療、保険、住居関連、教育等)のことだが、2019年度は、物販が約10兆円に対してサービス系は約7兆円と、モノを買う行為と変わらずに、旅行や飲食の予約、決済をネット上で行うことが当たり前の社会となっていたことがうかがえる。

 ところがこのコロナ禍で、県またぎの移動ができず、ほとんどのイベント(観光イベント、エンターテイメント系イベントすべて)が中止となり、サービス系分野で最も市場規模の大きい旅行サービスが約6 割減、飲食サービスは約18%の減少、チケット販売も6割以上の落ち込みとなった。金融サービスは約13%の増加、理美容サービスはほぼ前年とイーブンだった。

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