すぐに完売! 1枚焼きの「ホットサンドソロ」は、どうやって開発したのか週末に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2021年05月08日 09時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「このままじゃ、遅刻してしまうっ!」――。

 映画やドラマなどでパンをくわえながら、出社(または通学)するシーンを目にしたことがあるのでは。よーく見ると、パンの枚数はだいたい1枚である。

 「そー言われてみると、確かに。で、それが何か?」と思われたかもしれないが、多くの人は朝食に食パン2枚ではなく、1枚しか食べていないのでは? そんな疑問をきっかけに製品を開発し、大ヒットにつなげたホットサンドメーカーがある。その名は「ホットサンドソロ」だ。

燕三条キッチン研究所が開発した「ホットサンドソロ」が売れている

 開発したのは、新潟県燕市の金属メーカーである杉山金属が県内のデザイン会社などと立ち上げた「燕三条キッチン研究所」。2019年10月に販売したところ、巣ごもり需要やキャンプブームなどの影響を受け、売れに売れている。工場は休日返上で稼働しているものの、注文数に追いつかない状況が続いているのだ。

 ホットサンドソロの使い方は簡単である。フタを開いた状態のままにして、焼き型の上に食パン1枚を置き、ハムやタマゴといった好みの具を載せたら、折り畳んでフタを閉めるだけ。あとはコンロなどの火にかけて、片面2〜3分ずつ焼けば、食パン半分サイズのホットサンドができあがる。

片面2〜3分ずつ焼けば、できあがり

 たい焼きを一匹ずつ焼くことを「一丁焼き」「天然もの」などと呼ばれているが、このホットサンドソロも同じような形状をしている。一般的なホットサンドメーカーの場合、使うパンは2枚である。焼き型の上下に食パン1枚ずつをセットするわけだが、なぜ同研究所は“一丁焼き”のような商品を開発したのだろうか。

 開発を担当した杉山金属の小川陽介さんに話を聞いたところ、「朝食の量として、食パン2枚は多いのではないか。周りの人にも聞いても、1枚派がほとんど。1枚のパンを使うホットサンドメーカーはなかったので、つくってみたらおもしろいかも」といった発想からスタートした。

一号機として観音開きタイプを開発

 ド素人の筆者はこの話を聞いたとき、「ま、2枚焼きのところを1枚にするだけなので、簡単でしょ」と思ったが、試作品をつくってはダメ、試作品をつくってはダメを繰り返すことに。むむ、プロが手を動かしても、そんなに難しいことなのか。

 「一号機として、3枚のハネの上に食パンを載せ、それを折り畳んでセットするモノをつくりました。いわゆる“観音開き”のような形なので、見た目のインパクトはあり。しかし、そのフタを開ける際、取っ手の部分が熱くなるので、トングなどを使わなければいけません。この試作品でつくったホットサンドの味はよかったのですが、使いやすさの点で問題があったので、製品化を断念しました」(小川さん)

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.