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» 2021年08月25日 14時38分 公開

他社が有料化のタイミングで、決済手数料ゼロにする楽天ペイの狙い

これまで3.24%の決済手数料を堅持してきた楽天ペイが、10月から1年間決済手数料ゼロのキャンペーンに踏み切る。新規登録の年商10億円以下の中小店舗に限り、2022年9月までの1年間、手数料とともに決済金の振り込みも手数料を全額キャッシュバックするキャンペーンだ。

[斎藤健二,ITmedia]

 これまで3.24%の決済手数料を堅持してきた楽天ペイが、10月から1年間決済手数料ゼロのキャンペーンに踏み切る。新規登録の年商10億円以下の中小店舗に限り、2022年9月までの1年間、手数料とともに決済金の振り込みも手数料を全額キャッシュバックするキャンペーンだ。

楽天ペイが決済手数料無料キャンペーン開始

 ちょうど、10月からはコード決済最大手のPayPayが、これまで無料としてきた中小店舗向けの決済手数料を有料化するタイミングだ。7月に手数料を有料化したメルペイに続き、d払いやau PAY、LINE Payも10月から手数料を徴収する。他社が有料化するなか、これまでずっと有料でやってきた楽天ペイが、無料キャンペーンを展開する形だ。

ずっと有料でやってきた楽天ペイが、決済手数料無料キャンペーンを行う狙い

 ここには2つの狙いがある。1つは、中小加盟店舗の拡大だ。楽天ペイはこれまで大手加盟店を中心に利用できる店舗を拡大してきており、現在500万店舗で利用できる。これに加え、PayPayが得意としてきた中小店舗の開拓に本腰を入れる。

 「生活動線を押さえる点では相当進んできた。コンビニ、ドラッグストア、鉄道もカバーできるようになった。いよいよ中小のお店にも手をつける段階に来た」(楽天ペイ事業本部の小林重信本部長)

楽天ペイ事業本部の小林重信本部長

 楽天ペイの強みは、楽天経済圏に支えられたアクティブなユーザーの存在だ。「店舗は手数料を負担する一方で、何が得られるのかを考えて決済手段を選択する。楽天の強みは、間違いなく優良なお客を集客できること。循環する優良な顧客を提供できる」と、小林氏は話す。

 楽天IDにひも付いた楽天ポイントは、一大経済圏を形作っている。これまでのポイント発行額は2兆円を超え、現在は年間で4700億ものポイントを発行している。そして、その9割が消費されている。楽天ペイを導入した中小店舗のオーナーが、「楽天ポイントが使えることが決め手」だったというように、こうしたアクティブな顧客を店舗に誘導できるのが強みだ。

 もう1つがタイミングだ。現金商売を中心としてきた中小店舗において、競合コード決済事業者がキャッシュレス決済の重要性を説いて回り、ここ数年導入を促進してきた。店舗側にもある程度コード決済サービスが認知されてきており、他社が手数料を有料化するタイミングで仕掛ける。

 「このタイミングだからこそ、加盟店を効率的に増やせる土壌が整った」(小林氏)

 ただし、これは大きな戦略転換ではないと小林氏は言う。「持続可能な地に足のついたインフラとしてのサービスを提供していく。それは変わっていない。しかし、戦術レベルの話としてはフレキシブルにやっていく」

 楽天グループが先日発表した決算資料によると、楽天ペイを運営する楽天ペイメントの4-6月営業収益は97億円。営業利益は1億円増加し、5億円の赤字だった。PayPayの21年3月期決算は、営業収益が299億8900億円、営業損失は719億8500万円。年間で比較すると、楽天ペイが競合に比べてコストを抑え、堅実に伸ばしてきたことが分かる。今回の中小店舗獲得も、大量の営業マンを使って足で開拓する手法ではなく、Webでのメリット訴求などによるプル営業が中心となるという。

PayPayが700億円を超える赤字を出しつつも、営業収益を対前年比227%増と大きく伸ばしているのに対し、楽天ペイは39%の伸びにとどまっている

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