水害被害を“リモート”で推測 小型衛星で日本進出したフィンランド「ICEYE」の可能性世界初(4/5 ページ)

» 2021年08月30日 08時08分 公開
[小林香織ITmedia]

世界に6拠点を持つ、期待の宇宙ベンチャー

アイサイは、世界40ヵ国のメンバーが在籍するグローバルな環境だ

 現在、渡部氏は東京に拠点を置き、日本マーケットの窓口として日本企業のサポートや新規営業を担当している。以前は、米国の保険会社に所属し、シンガポールを拠点に勤務していたが、アイサイからのスカウトにより、この6月に転職を果たしたばかりだ。

 「アイサイは、フィンランド、米国、英国など世界に6拠点を持ち、40カ国からメンバーが寄り集まったグローバルな環境です。資金調達の総額は1億5200万ドル(約167億円)、社員330人とスタートアップのなかでもレイターステージであり、宇宙業界に革新的なテクノロジーをかけ合わせた将来の期待値が高いジャンル。私が関わってきた保険業界とも接点があり、自然災害で役立つなど社会的な意義も大きい。こういった側面に非常に魅力を感じ、オファーを受けることにしました」

 コロナ禍の面接ということで、一度もメンバーと対面することなく、ビデオ面接のみで正式採用。四半期ごとにフィンランドに短期滞在してメンバーと顔を合わせるものの、普段はフルリモートでアイサイの日本窓口を担う。

 「週に40時間といった契約はありますが、あってないようなもので、自分自身で勤務時間をコントロールしています。現地時間に合わせて15時〜23時に打ち合わせが入りますし、現在の豪雨のような緊急のタイミングでは、週末も夜も関係ありません。それは現地メンバーも同様で、みな使命感を持ちながら、時にハードワークもいとわない姿勢で働いています。16時に帰宅するフィンランド人という一般的なイメージとは違いますね」

フルリモートでアイサイの日本窓口を担当する渡部氏

 アイサイでは、渡部氏の入社と同時期に、リモートセンシング、衛星データ業界において25年以上の実績を持つ東誠氏が日本市場のゼネラルマネージャーに就任。今後12カ月以内に東京に事務所を開設し、10人のチームに拡大すると発表している。

 「物事が走りながら動いていて、これまで勤務してきた大企業と比較すると、開発のスピード感がまるで違います。顧客とディスカッションしながら、まだ世の中にないサービスを一から作り上げるおもしろさがあり、スタートアップの醍醐味を感じる日々です」

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